小沢一郎氏に30代の若手が
4度目の戦いを挑む岩手3区

 そして、最後にピックアップしたいのが岩手3区です。ここはかつて泣く子も黙らせたあの小沢一郎氏(79)と藤原崇氏(38)の実質一騎打ちです。この二人の戦いはこれで4回目となり、いよいよ最終決戦になります。

 この藤原氏はご本人には大変申し訳ないのですが、それこそ全国的な知名度でいうと、極めて低いと思います。それに比べて小沢一郎という名前を知らない人は私たち世代以上だとほとんどいないのではないでしょうか。

 藤原氏は弁護士出身の議員で、私の当選同期です。最初に彼と会ったときに「選挙の対戦相手は誰なの?」と私が質問したときに「小沢一郎先生ですよ」としれっと答えていた表情を今でも覚えています。

 2012年当時の小沢一郎氏といえば、まだまだ存在感があったので私は藤原氏のことを向こう見ずなとんでもない男だ、と思っていました。その後、すぐに選挙結果を調べてみたら、小沢氏7万8057票で藤原氏4万7887票。藤原氏の惜敗率(小選挙区選挙において当選者の得票数の何%を獲得したかを示す数値)は61.35%です。

 各党は小選挙区の複数候補を比例代表の名簿で同じ順位にでき、その場合、惜敗率が高い順に当選者が決まります。

「小沢氏にほぼ、ダブルスコアで負けているのに、よく比例復活してきたな」と心の中でつぶやいていました。

 そして、次の2回目の選挙のとき、藤原氏は私に「いやー、運が良ければまた国会で会いましょう!」と言って別れたのですが、結果は小沢氏7万5293票に対して藤原氏は5万7824票で惜敗率は76.80%でした。「小沢氏との差は少し縮まってるけど、この惜敗率。それでも比例復活してきてる。ただ者じゃないな」と思っていました。

 そして前回の3回目の選挙の結果は、小沢氏13万229票に対し、藤原氏9万6571票で惜敗率は74.15%でした。小沢氏が野党共闘で一本化してきたので、さすがに今回は難しいだろうと思っていたのですが、藤原氏は食らいついて比例復活をして見事3期目の当選を果たしました。

 ここまであの怪物の小沢氏と戦ってきて、諦めずに食らいついていくことができた藤原氏はただ者ではありません。着々と得票を伸ばしていますし、一方の小沢氏は年齢を重ねてきているので、おそらく今回が最後の出馬となるでしょう。藤原氏は果たして4度目の戦いで勝利をつかめるでしょうか。

 他にも注目選挙区はたくさんありますが、今回はこの三つの選挙区をピックアップしました。選挙では政策を選ぶのはもちろんのこと、その人物像を見ることも重要です。ただ、その人物評というものは世の中には出回らないものです。従って、私が知っていることはこうして皆様にお届けできればと考えた次第です。また次回の投稿をご期待ください。

(元衆議院議員 宮崎謙介)