都内の有名中華レストラングループ「御膳房」も銀座にオープン

 銀座を京橋方向に行くと、2丁目に「御膳房・二十四節気之華魂和装 銀座店」という中華レストランがある。10月8日はちょうど開店1周年の日だった。

 店名が長く覚えにくいかもしれないが、御膳房といえば、知る人ぞ知る新華僑系中華レストランの名店で、グループ傘下として、都内に9店舗を展開している。

 店舗は銀座と六本木に集中していて、近年は特に銀座からの情報発信に力を入れている。「おいしい料理だけではなく、多彩な中国の文化もより多くのお客さんに知っていただきたい」。それが来日35年のオーナーの徐耀華氏の信念だ。

 御膳房・二十四節気之華魂和装 銀座店は、旬の食材と薬膳に特化していて、日本に根を下ろした高級中華料理路線を歩む。客単価は1万5000円~4万円となっているが、その真髄は店名にある二十四節気と華魂和装という言葉に秘められている。

 1年を春夏秋冬の四つの季節に分ける。さらにそれぞれを六つに分け、24の節気がある。立春、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨、立夏、小満、芒種、夏至、小暑、大暑、立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降、立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒のことを言う。

 その季節の移り変わりに応じた食材と人間の体の変化による需要を、総合的に考えて生み出されたのが中華薬膳だ。こうした中華的な理念と発想により丁寧に作られた料理は、魯山人が制作した食器または九谷焼、金沢漆器など有名な日本製食器に盛られて出される。徐氏が求めるおいしい料理と多彩な中国文化との結晶だと思う。

 しかし、高級中華料理店もコロナ禍による影響は無視できない。徐氏は、「その時々の状況に応じた経営で乗り切るしかない」ときっぱりと言う。表情には自信が満ちていた。