断るのが苦手な人は、「即答しない練習」からはじめる

──実践編、というと?

本田:おっしゃるとおり、行動を一気に変えるのは難しいんですよ。

 ずっと優等生キャラで生きてきて、いろいろな人の頼みごとを嫌な顔もせず率先して対応してきた人が、突然「いま、無理です」とはっきり断る……というのは、いきなりはできないんですよね。

 できそうなイメージありますか?

──いや、絶対に無理です……。

本田:であれば、まずは「即答しない練習」をしてみるのがおすすめです。

──即答しない練習、ですか。

本田:たとえば取引先であれば、すぐに「対応できます!」と返答するのではなく、「ちょっと一晩持ち帰らせてください」とか、「いったん上と相談させてください」と言って、落ち着いて考える時間を設ける。

 上司からの頼みごとがメールや社内チャットできたとすれば、すぐに返信しないで一呼吸置く、とかね。

「過剰適応」の人は、とっさに笑顔で引き受けてしまい、あとで冷静になって「断るべきだった」「こういう理由を言えばうまく断ることができたのに」と後悔するパターンが非常に多いんです。

 頼まれた瞬間は「期待に応えたい」という気持ちが一時的に高まるので、冷静な判断ができなくなる可能性が高いんですよね。

──たしかに、何かを頼まれたときや、頼んできた相手を目の前にしている場合、断った場合の相手の反応を想像してしまって、自分よりも相手を優先してしまいますよね……。

本田:ええ。当たり前のことですが、頼まれごとはもちろん「断ってもいい」んですよ。

 自分自身がいま取り組んでいる仕事と、新たに頼まれた仕事の優先順位を比べてみて、自分の仕事のほうが重要であれば、そちらを優先すべきです。