「あー、そうだったんですね」は、
まるで他人事のように聞こえる

その対応は火に油! 接客1年生に知ってほしいクレームの初期消火の方法【書籍オンライン編集部セレクション】Photo: Adobe Stock

 接客マナー研修で接客側に非がある場合のロールプレイを実施したとき、たまにこのような光景が見られます。

 お客さま役が「前回利用したときに他のスタッフの人に伝えておいたのに、きちんと引き継がれていなかったんですよね…」というようなご不満を口にしたとき、それを聞いたスタッフが「あー、そうだったんですね」とまるで他人事のような対応をしてしまうケースです。

 私が実際に経験したことでいえば、たとえばお店で買ったものが袋に入っておらずレシートを見て「お会計はされているのに、商品が入っていませんでした」と店に電話をしたときや、ホテルのHPの情報と異なる案内をされて混乱しスタッフに確認をしたとき、配達予定時刻を大幅に過ぎて荷物が到着したときにも同じようなことがありました。

「あー、そうだったんですね」と言っているほうに悪気はありません。ただそう思ったから口にしているだけです。

 しかし、お客さまからしてみると「他人事みたいな言い方」だと感じ、元々の不満が助長されてしまいます。お客さまは「そのミスはあなたがやったことだ」とは思っていません。

 しかし、その商品やサービスを取り扱っている会社や店舗のスタッフの一員であるならば、まずは「ご迷惑をおかけしました」「そのようなことがあったのですね。大変申し訳ございませんでした」の一言がとても大切なのです。

 他人事ではない親身な対応を見たお客さまが、

「あなたのせいじゃないんだけどね」
「あなたが誠実な対応をしてくれたからもういいわ」
「こちらの気持ちを理解してくれてありがとう」

 という穏やかな気持ちになるからです。

 すべてのお客さまがそうではないとしても、まずは火に油を注ぐことのないようにしたいものです。