ライフサイクルのステージによって、
マネジメントスタイルは異なる
質問者はスタートアップのイノベーションについて言及していますが、スタートアップが展開する製品は導入期から成長期にあり、大企業が展開する製品の多くは、成熟期から衰退期にあるといえます。
これは当然の変化であり、導入期から成長期の投資を成熟期に回収することで事業は成り立ちます。そして、成熟期の製品を多く抱えることで企業は成長し、生み出したキャッシュを新たな製品を生み出すために投資することで、企業は事業を継続します。
ここでのポイントは、ライフサイクルのどのステージに立っているかで事業のマネジメントスタイルが異なるという点です。
導入期から成長期は、新たな顧客ニーズや社会課題に目を付けて、ビジョンを明確に打ち出す必要があります。スティーブ・ジョブズやイーロン・マスクのようなビジョナリーな経営者をイメージしてもらうと分かりやすいと思います。
成熟期には、形成された市場でいかに安定して利益を生み出すかが重要になるので、調整型のマネジメントが求められます。前年よりも多くの利益を上げるために、売上を伸ばしてコストを削減していく、日本企業が得意とするPDCA型のマネジメントです。
衰退期には衰退する市場に残るのか撤退するのか、ファクトに基づいたトップダウンでの意思決定が求められます。仮に祖業であっても、もしくは、その時点でまだ利益を生んでいたとしても撤退するという意思決定をする際には、独裁的なマネジメントが必要になります。