カローラは、2001年まで33年連続でナンバーワン販売という偉業を成し遂げた名車だ。実際、カローラは今でも、セダンの「カローラ」「カローラ・アクシオ」、ハッチバックの「カローラ・スポーツ」、ステーションワゴンの「カローラ・ツーリング」「カローラ・フィールダー」という多彩なラインアップを擁している。

 ただ、かつては日本の大衆車の代名詞として日産のサニーとともに日本自動車市場をけん引したカローラだが、いまは上級車志向になりつつあり、トヨタの大衆車(=コンパクトカー)の代名詞はヤリスに取って代わられている。その中で、大衆車として手に取りやすく知名度も高いヤリスにさまざまなバリエーションを設定することで、客層を広げる狙いがあるといえるだろう。

 また、ヤリスシリーズが好調をキープする要因としては、トヨタの販売体制変更も大きい。

 トヨタは昨年5月から、トヨタ全販売店(トヨタ店・トヨペット店・カローラ店・ネッツ店)での全車種扱いに切り替えた。つまり、これまでのトヨタ4チャネルに分かれて販売車種のすみ分けをしていた体制を事実上一本化し、コンパクトカーから高級車まですべてのトヨタ車をすべてのトヨタディーラーが売れることになったのだ。

 単純に販売チャネルが増加すれば、それだけベーシックなコンパクトカーであるヤリスシリーズに拡販のチャンスが広がる。結果として、20年の年間販売ランキングで首位となっただけでなく、今年に入ってからもヤリスシリーズが、トータルで月間1万台を超える販売を続けている大きな原動力になった。

 かたや軽自動車市場に目を向けると、10月の販売台数でスズキのワゴンRが首位に立ったことはちょっとした事件だ。