経営陣に多様性を持たせるためのガバナンス改革が重要
出来上がった組織からアーキテクトが生まれにくい一方で、新製品、新事業を生み出していくためにはアーキテクトが不可欠です。
また、老化した企業が生き残っていくためには基礎代謝を上げ、新陳代謝をしっかりと行うことが重要となります。
では、組織においてそれらを実現するためには何をすればよいのでしょうか。
一つの答えが、多様性のある経営陣を選ぶ仕組みを作ることです。
例えば、ガバナンス改革を積極的に進めてきたオムロンでは、現社長が属さない社長指名諮問委員会や人事諮問委員会を設置することで、客観的な視点を持って経営陣を選定しています。
スタートアップであれば、起業家がアーキテクトとして企業の成長を推進していくことに集中すればよいですが、前回解説したとおり、大企業ではアーキテクトの役割に加えて調整型や独裁型のマネジメントの能力も同時に求められ、マネジメント人材の多様性がさらなる成長への鍵となります。
大企業を継続的に運営してゆくためには、成熟期、衰退期を迎えている事業を管理しつつ、出来上がった組織で活躍の場を失ってしまっているアーキテクト思考力を備えた人材を見出し、素質を見極めたうえで新規事業の創出や新製品の開発を担う人材として適所に配置することが重要となります。
これは会社全体の経営を担うメンバーについてのみならず、一部門についても同様のことがいえます。特に変化の激しいVUCA(予測不能:Volatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguity)の時代には、一部門でも多くが、既存の製品から利益を上げつつ、将来に向けた投資を同時に行うことが必要です。
では、多様性を持ちつつ組織としてのバランスも保てるガバナンスを行うには、一体何に気を付ければよいのでしょうか。