様々なレベルや場面で変革や新たな発想が求められている

 そもそも本書で「アーキテクト思考」を提唱する理由は、多くのビジネスシーンでこのような発想が求められるからです。第13回で述べたように、デジタル化によってもたらされた鶏口牛後の時代には、様々なレベルや場面で変革や新たな発想が求められているからです。

 会社全体のアーキテクトが起業家だとすれば、部門単位やプロジェクト単位にも当然その「川上」においてアーキテクト思考は求められるのです。

 しかし、アーキテクト思考は、様々な場面で適用可能な考え方ではありますが、残念ながら特定の組織においては育ちにくいといわざるを得ないでしょう。それは、そもそも「組織そのもの」が創業者やその他の川上側の人間によってアーキテクト思考の産物として存在しているものだからです。

 出来上がった組織からアーキテクトが生まれにくいというのは、むしろそのような能力を有している人がいたとしても、それを活用する機会がこれまで少なかったからです。