リモートワーク、残業規制、パワハラ、多様性…リーダーの悩みは尽きない。多くのマネジャーが「従来のリーダーシップでは、もうやっていけない…」と実感しているのではないだろうか。
そんな新時代のリーダーたちに向けて、認知科学の知見をベースに「“無理なく”人を動かす方法」を語ったのが、最注目のリーダー本『チームが自然に生まれ変わる』だ。
部下を厳しく「管理」することなく、それでも「圧倒的な成果」を上げ続けるには、どんな「発想転換」がリーダーに求められているのだろうか? 同書の内容を一部再構成してお届けする。

「本気でやりたいこと」が見えないリーダーは何をやるべきか?Photo: Adobe Stock

“らしさ”は「得意なこと」の
なかに眠っている

 チームが自然に生まれ変わる状態をつくりたいなら、個々人の「ものの見方(=内部モデル)」の変更を迫るようなゴールが必要になる。しかも、そのゴールには一定の「リアリティ=臨場感」がなければならない。

 だからこそ、チームを変えるゴール設定には、個々人の「真のWant to」が不可欠だ。

 そして、その真のWant to(やりたいこと)に目覚めるには、まず日常を埋め尽くしているHave toに気づく必要がある。

 自分の価値観を覆い隠しているHave toを少しずつ剥がしていくと、自分が本来「何に関心があるのか」「どういうことに夢中になれるのか」がだんだんと見えてくる。

 運がよければ、以前の連載で紹介した「やっていることリスト」を作成するなかで、「あ、自分はこれを心からやりたくてやっているな!」と思えるようなタスクが見つかるだろう。

▼参考記事▼
「やりたくないが、やらねばならないこと」で満ちた人生を変える「A4用紙」の使い方

 明確に「これ!」と名指しできないにしても、「自分はこんなことにのめり込む傾向があるのかな……」という見当をつけられるかもしれない。

 これができただけでも、かなり大きな収穫だと言える。

 もちろん、まだ何も見えてこないという人も心配する必要はない。

 今回は「真のWant toに気づく」を掘り下げていくための方法について見ていこう。

 自分のWant toを探索するときには、次の3つのポイントに注目してみるといい。

(A)得意なこと
(B)夢中になれること
(C)繰り返していること

「好きこそものの上手なれ」という言葉があるが、エフィカシー・ドリブン・リーダーシップの文脈でつねに意識しておくべきなのは、その逆もまた真なりということだ。

 つまり、「(A)得意なこと」のなかにこそ、真のWant toは眠っているのである。

 この事実に早くから気づき、自覚的に行動している人は、若くして世の中に出て大きな成功をつかんでいく。

 アスリートなどが典型だ。

「得意」であり、かつ、「やりたい」と思えることに取り組むのが、どんな人間にとってもベストである──ほとんどの人はこのシンプルな真理を直感的に悟っているはずだ。

 だが、それを実践できる人はなかなかいない。

 実際、個人の才能とWant toには重なるところが大きい。

 あなたが大切にしている価値観に気づく手がかりは、あなた自身の強みのなかに隠れているのだ。

 とはいえ、自分がどんなことに才能を持っているのか、はっきりとわかっている人は少ない。

 そんなときには、「ストレングス・ファインダー」のような診断ツールを使うのも1つの手だ。

 ストレングス・ファインダーとは、人の「強みの元=才能」を見つけ出すことを目的に、アメリカのギャラップ社が開発したツールで、選択式のウェブテストを受けるだけで、その人の上位資質5つが診断できるようになっている。

 診断結果には、現時点で顕在化されている強みだけでなく、「こんな才能を持っている自分でありたい」という理想像が無自覚的に投影されるため、自分のWant toをつかむうえでも非常に相性がいい。

 なお、「ストレングス・ファインダー」の診断を受けるには、公式サイトで直接アクセスコードを購入する以外にも、アクセスコード付きの書籍『さあ、才能に目覚めよう 新版』(日経BP)を購入するなどの方法もある。