現場発の改革もあり得る
第13回でも「鶏口牛後」の時代への変化について触れましたが、現代は「牛が減って鶏が増えていく」状況です。かつて日本が米国の背中を追いかけて疾走していた時代には、一つの組織に鶏役が数人いればよかったかもしれませんが、これからは組織に属していても、アーキテクトとして改革を推進していくことが求められます。
海外駐在員が現場でニーズを捉えて、アーキテクトとして全体構想が描ければ、現場発の事業を興し、やがてそれを全社改革につなげる事さえできるかも知れません。顧客のことや組織のことを誰よりも知りつくし、そして考えた人が立ち上がれば、共感者であるフォロワーが増え、それが求心力として働くことで、その人がいずれ名実ともに組織の長となります。
ここで重要なのは、海外駐在員を現地のアーキテクトとしたいならば、本社の経営陣が当人にそれなりの権限と時間を与えることを決して渋ってはならないという点です。
バイアスを取り払って白紙から全体構想を描くことは、決して限られた時間、狭い囲いの中で実現できるものではないことは、これまでアーキテクト思考を一緒に学んできてくださった読者のみなさんにはご理解いただけるかと思います。