「今の会社で働き続けていいのかな?」「でも、転職するのは怖いな……」。働き方が大きく変わるなか、そんな悩みを抱える人は多いだろう。高卒から、30歳で年収1000万円超という驚きの経歴をもつ山下良輔さんは、そんな「転職迷子」たちから圧倒的な支持を得ている。山下さんは出版した初の著書『転職が僕らを助けてくれる――新卒で入れなかったあの会社に入社する方法』で、自らの転職経験を全て公開している。
その戦略は「外資系やコンサル業界は、学歴エリートでなくても入れる」「職歴に一貫性はなくてもいい」など、これまでの「転職の常識」を塗り替えるものばかりだ。どうしたら人生を変える転職ができるのか、どうしたらいい会社選びができるのか。この連載では本書より一部を特別に公開する。

頭がいい人と悪い人「転職エージェント」との付き合い方の差Photo: Adobe Stock

転職エージェントに「難しい」と言われたら?

 転職エージェントとやりとりするなかで、気をつけなければならないのが「あなたには難しいですよ」の呪いです。

 僕は高卒の学歴で2回転職したのですが、そもそもほとんどの大手企業の応募条件には、あてはまっていません。大卒の人は気づいていないかもしれませんが、応募条件として「学歴:4年制大学卒業以上」を掲載している会社は多いのです。

 転職エージェントはプロです。高卒に限らず、これまで数多くの事例を見てきて、「これくらいの学歴・職歴の求職者は、これくらいのレベルの会社に内定できる」という相場感を持っています。だから、その相場感に応じて、僕らに受かりそうな会社を教えてくれます。

 実際、学歴が高卒の僕がエージェントに「コンサルティング業界を受けたい」といったときも、「ほぼ100%無理ですよ」「どうせ受からないですよ」という対応を受けました。

 直接的にいってくる人もいたし、代わりに違う会社を候補として挙げてくる人もいましたが、積極的に応援してくれる人はいませんでした。当然ですが、転職エージェントは過去のデータを参照しながら僕らの「今の会社を基準に」「今の年収を基準に」アドバイスをします。プロとしては、正しい仕事をしています。

 しかし、これは、僕が第1章の会社選びで「避けてください」と書いた「現状にとらわれる」やり方そのものです。

 ですから、こうしたエージェントの常識的なアドバイスは、全部無視してください。そうしないと、いくら自分が入りたい会社を決めたとしても、だんだん「もしかしてダメなんじゃないか」「どうせ受からないよ」と勝手にあきらめることになってしまいます。受けて落ちるなら、いくらでも学びがありますが、受けることすらしなければ、受からないのは当然ですし、何も得られません。最悪のパターンを避けるようにしてください。

 僕の場合、基本的にこうした「合否についてのアドバイス」はスルーしています。志望する企業にチャレンジすることさえ止めてくる担当者は、申し訳ないですが、他の方に変えてもらっていました。また、「この人!!」という特定の担当者も、決めていません。必要なときに必要なことを、必要な人に相談する方法で、ビジネスパートナーとして付き合うようにしていました。

 ちなみに、大手エージェントか、専門性の高い中小エージェントかで迷った場合、僕は大手エージェントを選びます。

 理由は単純で、大手ほど基本的には紹介できる求人の幅が広く、企業の数も多いから。また、専門性の高いエージェントは「受からせるコツ」をわかっているからこそ、学歴や職歴で「門前払い」されてしまう可能性もあります。

 もちろん相性もあるので、いろいろな人と会っていいと思いますが、「業界的に優秀なエージェント=僕らを受からせてくれるエージェントではない」と知っておいたほうがいいです。

※この記事は『転職が僕らを助けてくれる――新卒で入れなかったあの会社に入社する方法』からの抜粋です。