一冊の「お金」の本が世界的に注目を集めている。『The Psychology of Money(サイコロジー・オブ・マネー)』だ。ウォール・ストリート・ジャーナル紙のコラムニストも務めた金融のプロが、資産形成、経済的自立のために知っておくべきお金の教訓を「人間心理」の側面から教える、これまでにない一冊である。世界43か国で刊行され、世界的ベストセラーとなった本書には、「ここ数年で最高かつ、もっとも独創的なお金の本」と高評価が集まり、Amazon.comでもすでに10000件以上のレビューが集まっている。本書の邦訳版『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』が、12月8日に発売となった。その刊行を記念して、本書の一部を特別に公開する。今回は、「氷河期が起きた驚きの理由」から学ぶ教訓を紹介。

氷河期は「わずかに涼しい夏」から起きる!? 驚きの事実photo:Adobe Stock

氷河期は少なくとも5回起きている

 地球が何度も氷に覆われていたことを科学者が認めたのは、19世紀になってからのことである。そう認めざるを得ないほど、はっきりとした証拠がいくつも見つかったからだ。かつて氷が地表を覆っていたことを示す痕跡は、世界中に存在している。氷河の浸食を受けた巨大な岩や、氷河によって岩が薄く削られた痕跡が地球上のあちこちに散らばっているのだ。しかもこれらの証拠は、氷河期が1度ではなく、これまで5度あったことを明確に示していた。

 地球全体を凍らせ、それを溶かし、再び凍らせるために必要なエネルギーの大きさは、想像を絶するほど巨大なものであるはずだ。いったいどのような力が、このようなサイクルを引き起こしたのか? それはきっと、地球上でもっとも強い力であるに違いない。

 実際にそれは地球上でもっとも強い力だった。だがその実態は、私たちが予想していたものとはまるっきり違っていた。

謎に包まれていた、氷河期が起きる理由 

 氷河期が起こる理由については諸説あった。そしてそのほとんどが、氷河期の壮大さに比例するかのように、壮大な仮説ばかりだった。山脈の隆起で地表を流れる風向きが変わって気候が変化したという説や、氷河期が地球本来の姿であり、大規模な火山噴火によって地球が温まって中断されているだけだという説もあった。

 しかしこれらの仮説はいずれも、氷河期が周期的に訪れる理由を説明できていなかった。山脈の隆起や大規模な火山噴火は、氷河期が1度起こる理由にはなるかもしれない。だが、それが周期的に5度も繰り返された理由にはならない。

氷河期は「わずかに涼しい夏」から起きる!? 驚きの事実photo:Adobe Stock