しかし残念なことに、国民生活基礎調査(平成28年度)では、便潜血検査の受診率は41.4%。なんと約60%もの人が便潜血検査を行っていません。これだけ効果が証明されている検診を受けないのは本当にもったいないです。
がん検診を日本人より積極的に受ける傾向のあるアメリカでは、大腸がんの罹患者数、死亡者数が日本より少ないというデータが出ています(※3)
アメリカの人口は日本の約2.5倍と多いにもかかわらず、「アメリカより日本のほうが死亡者数が多い」のです。まだ受けていない人は便潜血検査を受けましょう。自宅でできる便潜血キットもあるのでご検討ください。
大腸カメラは痛い? 大丈夫?
大腸内視鏡検査(以下、大腸カメラ)という選択肢もあります。大腸カメラは大腸の中を直接カメラで確認する検査なので、便潜血検査より情報量が多いです。
「痛み」に関して心配する人が多いですが、安心してください。大腸の内側の壁には痛覚が走っていません。ポリープの切除を含めて、ほとんどの場合痛みを感じることはないのです。ただ、「大腸のしっぽ」にあたる虫垂(ちゅうすい)に炎症が起きる「虫垂炎(盲腸)」の経験があると、少し話が変わってきます。
大腸の壁が隣の小腸などに癒着することがあり、その場合はカメラを通過させるのが難しく、痛みを感じることもあります。
ただそうした場合は「鎮静剤」を使って、痛みを感じずに検査を受けることもできます。過度に不安になる必要はないでしょう。大腸カメラ用のお尻の部分に穴が開いた検査着もあるので、下半身を出す必要もありません。
注意点としては、事前の準備がやや大変ということ。前日から下剤を内服し、当日も水分を朝から2ℓくらい飲んで腸を空っぽにする必要があります。それでも腫瘍が見つかればそのまま組織を採取でき、大腸がんの予防につながる場合があります。
ポリープとは、単純に盛り上がって「いぼ」のように突出している腫瘍を指し、そのすべてががんというわけではありません。しかし、大腸ポリープには良性から悪性までさまざまな種類があります。基本的には「良性ポリープが悪性ポリープに変化する」ことはありません。