腺種ポリープに気をつけて!
良性のポリープであれば放っておいていい場合もあるのですが、しかし悪性のポリープ、特に腺腫(せんしゅ)ポリープは「大腸がんの前段階」と言われていて、疑わしいものを発見したらがん化する前に切除したほうが、大腸がんの予防につながることが多いです。
腺腫ポリープは「大腸がんができやすい体質」だから出現するものです。「切除したから一件落着」ではなく、むしろ「自分の腸は大腸がんのリスクが高い」と気づかせてくれるサインなのです。
健康診断などでは、ポリープの種類まで伝えられない場合もあります。「ポリープが見つかった」と言われた場合は、自分の体質を把握するためにも必ず検査した医師に「大腸がんのリスクを上げるポリープなのかどうか」確認しておきましょう。
そしてこういった話をすると、もしかしたら「毎年大腸カメラを受けなければならない」と思い込んでしまう人もいるかもしれません。
世界基準で考えても、毎年大腸カメラを受けたほうがいいという指針を掲げている国はありません。費用や下剤などの苦労を考えると、リスクが特にない人は毎年行うのは便潜血検査のみで十分でしょう。
「ではどのくらいの頻度で受けたらいいのか?」と思われるでしょうが、アメリカ予防医学専門委員会では、大腸カメラは「10年以内に1回」を推奨しています(※4)
大腸カメラが苦手な人も、10年に1回くらいならがんばれるのではないでしょうか。
腺腫ポリープが確認されたり、家族に大腸がんの人がいたりするといった、リスクの高い人は別ですが、一般的には「毎年便潜血検査のチェック」「10年以内に1回は大腸カメラを受ける」という方法が大腸がん検診の現段階でのベストチョイスです。
※1 Cancer Statistics. Cancer Information Service, National Cancer Center, Japan(Vital Statistics of Japan, Ministry of Health, Labour and
※2 Ann G Zauber,et al. Evaluating test strategies for colorectal cancer screening:a decision analysis for the U.S. Preventive Services Task Force. Ann Intern Med .2008 Nov 4;149(9):659 69.
※3 Rebecca L Siegel,et al. Cancer statistics,2019. CA Cancer J Clin. 2019 Jan;69(1):7 34.
※4 US Preventive Services Task Force. Screening for Colorectal Cancer: US Preventive Services Task Force Recommendation Statement. JA MA. 2021 May 18;325(19):1965 1977.