コロナ禍が暴いた日本の「デジタル後進国」ぶり。それは国内IT産業の弱さの裏返しでもある。ITベンダーの世界3強と国内3強(NTTデータ、富士通、NEC)の収益力・キャッシュ創出力を比べると、巨大な格差が浮き彫りになった。(ダイヤモンド編集部副編集長 鈴木崇久)
デジタル後進国ニッポンの現実
IT国内3強と世界3強の差
「NTTデータが世界のITサービス業界のブランド評価で9位にランクイン」――。2019年2月、NTTデータはそう題したニュースリリースを発表した。
英調査会社ブランド・ファイナンスは、ITサービス企業を対象にした企業ブランド力の世界ランキングを毎年発表している。その上位に自社が食い込んだことを知らせる内容だった。「初めてランクインするとともに日本企業として最高位である9位となりました」と、リリースにはある。
下表は、その最新版ランキング「IT SERVICES 25 2021」のトップ10だ。
NTTデータは19年版で初のランクインを果たした後、20年版に8位にランクアップ。21年版でもその位置をキープした。
ただ、ここで注目すべきことは「NTTデータの快挙」よりも、世界と日本のITベンダーの間にある巨大な格差ではないか。世界1位の米アクセンチュアのブランド価値は260億ドルと推計されている。一方、国内1位(世界8位)のNTTデータは51億ドル。その差は5倍以上もある。
世界2位の米IBM(ITサービス部門)と同3位のインドのタタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)も、それぞれ161億ドル、149億ドルとNTTデータの3倍前後もある。
また、国内2位の富士通(ITサービス部門)は世界11位、国内3位のNEC(同)は世界19位と推計されている。ITベンダー国内3強のブランド価値は、世界トップレベルと評価されてはいないということだ。
国内3強vs世界3強
収益力とキャッシュ創出力で比較
では、ブランド価値ではなく「実力値」である業績で比べるとどうか。そこでITベンダーの国内3強と世界3強の収益力・キャッシュ創出力を比較したのが、次ページの図だ。