バカは「生きづらさ」を救う

 お利口に生きようとして計算ばっかりしていると、毎日がどんどん息苦しくなっていきます。「人生がつまらない」「生きるのがつらい」「楽しいことが何もない」――。そう感じている人は、いろんなことを真面目に考えすぎているのかもしれません。

「ほかの人と同じじゃなくていい。自分は自分でいいんだ」という自信を持つことは、とても大事です。開き直りと言ってもいい。常識とか普通とかそういうものに合わせようとすればするほど、苦労も増えていきます。

「バカも休み休み言え」という言葉がありますが、お利口や真面目こそ休み休みじゃないといけません。文章だって、ずっと続いていてぜんぜん句読点がなかったら、読み手が苦しくなります。その句点や読点が「バカ」です。

 いったん一休みして、また続きを読む。時々、ホッとできる間を作る。だけど昨今は、句読点みたいな「無駄」はなるべく減らして、もっと効率を上げなさいなんて言われるし、本人もそれを目指してしまう。疲れるのは当たり前です。

 自分の中のバカを減らそうとすると、苦しくなるだけじゃなくて、人が寄ってこなくなります。すごく孤独な人生になってしまう。

 だけど、バカなことをしゃかりきにやってると、「しょうがない、手伝ってやるか」と言ってくれる人が必ず出てくる。こっちだって損得を考えずに誰かに手を貸してあげると、それ以上のものが返ってきます。

仕事が嫌なら辞めればいい

 若い人たちに言いたいのは、生きることはけっしてつまんなくないよ、生きるって楽しいよということ。仕事をしていても人と話していても道を歩いていても、どんな状況でも何をやっていても、探せば面白いことはたくさんあります。

 人生は本当は楽しいはずなのに、雑に生きてしまったらもったいない。バカな生き方と雑な生き方とは、まったく正反対です。

 あれもやめておこう、これもいけないと上手に生きようとして、どんどん孤独になっていく。それが雑な生き方です。

 誤解を恐れずに言えば、今やっている仕事が嫌でしょうがないのに、そこから抜け出ようとしないのも、自分に対する「雑」な態度です。心の底から嫌なんだったら、自分の性格や生い立ちにその仕事が重なっていないんです。ぼくは辞めてしまえばいいと思う。

「辞めたらどうなるんだろう」と不安に思うかもしれないけど、生きていかなければいけないんですから、必ず何か知恵が湧いてきます。火事場のバカ力です。

 もし我慢しながらでもそれなりに長く続けられているんだったら、それはその職業が自分に向いているということではないでしょうか。

「人からバカと言われたくない」「人にバカと思われたくない」と怖がる必要も、まったくありません。本当に怖いのは、生きることを面白がれなかったり、人が離れていって孤独になったりすることです。バカを遠ざけ続けていると、そこを見失ってしまいます。

 したたかに生きましょう。したたかに生きるためにバカになる。バカになることで生きることを面白がる。『バカのすすめ』には、あなたの人生を変えるヒントやノウハウが詰まっています。