感動小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』の著者が、voicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」から、とっておきのアドバイス。心がスッと軽くなる“言葉の精神安定剤”で気分はスッキリ、今日がラクになる!

【精神科医が教える】離れたいのに離れられない人間関係の「最終手段」とは?イラスト:カツヤマケイコ

もうあの人に振り回されない

きょうのひとことは、
「ちょっとずつ精神的な距離をおくようにしてみて」

離れたいのに離れられない人っていませんか?

まるで恋愛の話のようですが、そういうわけではありません。

「嫌な人とは距離をおいたほうがいい」というようなアドバイスをすると、必ずといっていいほど、こんな質問が寄せられます。

「家族だったり職場の人間関係だったりすると、距離をおくわけにはいかないのですが、どうすればいいですか?」

そこで今回は、この質問にお答えしようと思います。

そもそも「距離をおく」ということについて、厳密に考えすぎていませんか?

一切関わりをもたず、連絡もとらず、あかの他人のようになって、知らない人間同士になるところまで距離をおくというふうに、漠然と思い込んでしまっているのかもしれません。

距離をおくには、物理的に離れるだけでなく、その人に対して心を閉ざすとか交流を減らすとか精神的に離れる方法もあります。

一緒に暮らす家族でも、一緒の部屋にいる時間を極力減らすだけでなく、相手によっては「一緒にいると疲れるから、話す機会を減らしますね」みたいなことを思い切っていってしまってもいいでしょう。

また、相手へのリアクションを減らしてみるとか、相手の都合のいいタイミングで連絡してきた電話やLINEに反応しないとか、そういうことも距離をおく方法の1つです。

自分ができる範囲でちょっとずつ物理的にも精神的にも距離をおく方向に向かうことで、その人との関係の密度が薄まっていって、だんだんと以前に比べれば関係が離れていくわけです。

そう考えてみると、家族であれ職場の人間関係であれ、「離れにくい人」と「離れやすい人」はいるかもしれませんが、絶対的に離れられない人というのは、ほぼ存在しないといえるでしょう。

親子であっても連絡をとるのをやめた親子はいますし、同居して介護をしているとしても、相手のいうことまともに捉えてると、それは距離が離れてないけれども、半分くらいは聞き流せるようになったら、それは距離が離れることと等しいわけです。

物理的な距離だけでなく、精神的な距離を含めて考えてみれば、距離をおくことは十分可能ですし、以前より関係性が薄くなれば、それは距離をおいたことになるのです。

そうしたことを意識していくと、より淡白な関係性にもっていくことができますし、いずれ関係性が途絶えるということも可能になってきます。

ですから、ちょっとでもやれることを、やれる範囲でやってみてください。

人はお互いの気持ちで関係性が成り立っていますから、相手も「自分に対する関心が薄れて、相手にしたくないんだな」ということがわかってきたら、お互いに離れていく方向に向かうでしょう。

それに、誰にとっても「時間」というのは限られています。

どんなに嫌な人との関係性が濃密で耐えられないと思っていても、その人といる時間を減らして、他の人といる時間を増やせば、嫌な人と過ごす時間は減っていくということなんですね。

嫌な人と離れられないというのは、その人の言動や雰囲気、それに「怒らせたらどうしよう」などといろんな恐れを抱いたりして、ある種の「共依存」になっているようなものです。

その人との関係性に過剰に囚われている状態であり、ちょっとした洗脳ともいえるでしょう。

「この人のことは嫌いだけど、離れるわけにはいかない」という感情を抱いてしまっていることがあるのです。

しかし、あなたから自由を奪って、その人と強制的に関係性をつないでおかなければならないなんてことはあり得ません。

あなた次第でなんとかなることは、たくさんあるはずなのです。

きょうお話したことを踏まえて、自分自身に課してしまっている考え方の縛りを外してみてください。

勇気をもってやってみると、意外と上手くいくものだったりしますからね。

きょうのひとことは、
「ちょっとずつ精神的な距離をおくようにしてみて」
でした。

参考になったかしら?