東京2020オリンピック・パラリンピックなどの結果を振り返ったスポーツ庁では、新たに「持続可能な国際競技力向上プラン」を策定(2021年12月)。少子化が進む日本において、持続的に国際競技力の維持・向上を図る。その施策の1つに、デジタル技術の活用がある。科学的根拠に基づく選手強化を実施するのだ。そうなると、より一層のデジタル技術の理解が必要となるだろう。そんな中アシックスでは、デジタル技術を積極的に採用し、スポーツを行うことで心がどのように変化するかを可視化するシステム「Mind Uplifter(マインドアップリフター)」を展開している。アシックスジャパン マーケティングコミュニケーション部長の土井登弘氏に、開発背景と活用法を聞いた。(取材・文・撮影/編集者・メディアプロデューサー 上沼祐樹)
「身体」ではなく「心」の
コンデイションを可視化するメリット
スポーツの数値化で言うと、距離、時間だけでなく、筋力量の増減や消費カロリー数などが実施されてきました。どちらかというと、身体に関わるものです。マインドアップリフターは、世界中の人々の心身の健康を維持するためのスポーツの促進、特に心の効果にアプローチすることで、スポーツの意義を確認してもらうものです。使い方は簡単で、スマホなどのデバイスで表情をスキャンします。
その後、いくつかの質問に答え(約2分)、エクササイズを実施。終了後に再度、スキャン&質問に答えることで、マインドの変化が可視化されるんです。「リラックスしているか」「穏やかか」「集中しているか」「感覚が鋭くなっているか」などを問う、海外の研究機関で開発された質問が導入されており、運動前後の表情や解答の差異を見て、マインドの変化を数値化します。