人生100年時代は、健康こそ最大の資産です。
しかし40歳を越えると、がん、糖尿病、腎臓病といった病気を避けては通れません。国立がん研究センターによれば、40~49歳のがん患者数は、30~39歳と比べると3倍以上です(2018年)。もちろん50代、60代と年齢を重ねるにつれ、がん患者数はどんどん増えていきます。
本連載は、毎日の食事から、大病を患ったあとのリハビリまで、病気の「予防」「早期発見」「再発予防」を学ぶものです。著者は、産業医×内科医の森勇磨氏。「予防医学ch/医師監修」の管理人でもあり、動画は「わかりやすい説明で参考になる」「怖いけど面白い」と評判で、チャンネル登録者は27万人を超えています。初の単著『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を出版し、感染症医・神戸大学教授の岩田健太郎氏が「安心して読める健康の教科書」と推薦文を寄せています。本記事はそんな森氏の緊急提言です。

新型コロナで「脳が縮む」!? 科学誌Natureが公開した驚きの論文Photo: Adobe Stock

新型コロナと脳に関する論文が発表!

 新型コロナウイルスが人間の脳に与える影響について、世界各地で様々な仮説が検証されています。

 そして、かの有名な科学誌「Nature」に非常に興味深い論文が2022年3月7日に公開されました(※1)

 その研究内容としては、「UKバイオバンク」と呼ばれるイギリスの研究機関に登録された51-81歳の785名の被験者を対象に、「感染前の脳の画像と感染後の脳の画像を比較して、一体どのような変化があったのか」を調査したものです。

 この研究では、感染する前の脳の画像を前もって撮影しておくことで、感染後の画像と比較することでコロナに感染した自体の影響をできるだけ浮き彫りにする事ができるのではないか、という試みです。

 またこちらの論文は、「新型コロナ感染者の脳の画像に関連した縦断的研究(特定の個人や集団の経過、前後関係を追跡する研究)としてはおそらく初めてのものになる」とのことでした。

 そして気になる結果としては、

・脳の中で、人の意思決定に重要な役割を果たす「眼窩前頭皮質」という部分や、記憶を整理したり検索したりする役割のある「海馬傍回」という場所の組織の厚みが減少していた

・においを扱う「一次嗅覚皮質」という場所に機能面で関係している部分の組織が損傷していた

・そもそも脳自体のサイズが減少していた

 というものでした。