「食べる」「寝る」「筋トレ」は回復ではなく予防手段

──疲労困憊してエネルギー切れになることなく、自分らしく働くためには、どんなことをされてきたのでしょう。「いくら休んでも疲れが取れない」原因は何だと思いますか?

わび:仕事に対して休みが追いついていないのだと思います。

 どんなにラクそうに見えても、何かしらストレスがあるのが仕事というもの。普通に仕事をしているだけでも気力、体力はガリガリ減ってしまうし、上司の厳しい指導や友だちの何気ない一言で普通の状態でいられなくなることもあります。

 心身を限界まで使い果たすと、今まで平気でできていた仕事も少しずつ困難になっていきます。

 だから、心身を回復させるタイミングは超重要なのですが、倒れた当時の私は、パワハラのストレスで睡眠も浅くなってしまっていて、ほとんど休みがない状態でした。

 ただでさえ、平日5日間の仕事の疲れを土日2日間だけで回復させる、というサイクルはけっこうきついのに、さらに残業もして、休日出勤もして……と働き詰めになってしまったら、疲労が蓄積するに決まっていますよね。

 よく、SNSやネットニュースなどで「メンタルをやられたときは、ご飯を食べて寝て、筋トレしたら回復する」という言葉を目にしますが、それは回復手段ではなく、予防手段なんです。

 まだある程度余裕がある人にこそ機能するやり方で、本当に疲れ切った人は、筋トレも食事もできません。

 なので、そういう状態にならないように、環境を整えること。

 そして、もしすでにそうなってしまっているのであれば、自分がゲームでいうところの「ステータス異常」になっていることを自覚して、早めに病院に行ったりして、専門家に相談するようにしましょう。