自衛隊で教わった、小さなミスでイライラしないための合言葉

──ストレス対策として、わびさんが日常的にやっていることや、考え方のコツがあれば教えてください。

わび:「大まかな方向が合っていればOK」と考えるようにしています。

 自分の経験からもつくづく思うのですが、小さなことでもストレスを感じる人は、すごく細かい矢印で将来の道筋を決めてしまっているんですよね。

 細かい矢印ばかり追いかけていると、ちょっとでもずれるとそれがいちいちストレスになってしまう。「ああ、また回り道してしまった」「本当はこっちに行くはずじゃなかったのに!」と、人生に起きる全ての出来事が思い通りにならないと満足できない。

 だから、小さな矢印ではなく、大きな矢印で将来を見るのが大事で。「この幅に入っておけばOK」くらいの心構えにするようになってから、私はかなりストレスが減りました。

──たしかに、毎回細かい計画を立てて、その通りにいかなくて焦ってしまう……という人は多そうですね。

わび:私も社会人前半の頃は、うまくいかなくてストレスが溜まったり、小さなミスでいちいち落ち込んだりしてばかりでした。今でももちろん、ミスをして焦ることはあります。けれど、そんなときは、自衛隊時代の先輩に聞いた、「それって大勢(たいせい)に影響あるの?」という言葉を思い出すようにしています。

──「大勢」?

わび:自衛隊ではよく使う言葉なんです。要するに、そのミスは、全体の重要な方針に影響があるのか、確認しているわけですね。

 大勢に影響がないのならそれ以上追及しない。影響があるのなら、速やかに是正、対処する。

 先ほどお話しした、「大きな矢印」の幅におさまっているならばOK、という考え方ですね。

 だから、パワハラに苦しんでいた7年前の私のように、今何か辛い出来事がある人、ストレスを抱えている人、疲労困憊している人がいるのなら、「人生の悩みのほとんどは、大勢には影響ないんだよ」と伝えたいです。

 仕事だって、「自分らしい人生を送る」という目的を達成するための手段の一つでしかない。

「今の仕事がダメだったら人生終わり」なんてことはありません。

 大きな目的に向かっていくためには、ときに戦略的撤退も必要なんです。

 私はメンタルダウンしてから復帰するまで、かなりの時間がかかりました。「みんなから置いていかれる」と思い、無理して復帰してはまた体調を崩す、ということを繰り返していました。

 でも、そんなこと、「置いていかれるかどうか」なんて、気にしなくていいんです。

 人生の究極の目標は「本来の自分であり続けること」です。今回の本が、少しでも多くの人の助けになることを願っています。

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