感動小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』の著者が、voicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」から、とっておきのアドバイス。心がスッと軽くなる“言葉の精神安定剤”で気分はスッキリ、今日がラクになる!

【精神科医が教える】孤独を癒やすたった1つの方法

丁寧に生きるということ

きょうのひとことは、
「時間と丁寧に向き合う」

孤独・孤立と、どう向き合えばいいのか。このことが社会問題化しています。

大きな視点でいうと、内閣官房に「孤独・孤立対策担当室」が設置され、政府一体となって孤独・孤立という社会的問題に取り組んでいるのです。

社会全体のつながりが希薄化しているうえに、新型コロナの長期化によって、孤独・孤立がより一層顕在化しているというわけです。

いま孤独・孤立を実感していない人も、近い将来、より切実にこの問題に向き合わなくてはならない状況になるかもしれません。

さて、孤独・孤立の解決方法のひとつは、「時間と丁寧に向き合うこと」です。

孤独・孤立のいちばんの問題点は、おそらく「暇(ひま)を持て余す」ということです。これといってやることがなく、暇を持て余して孤独を感じ、寂しい気持ちが募ってくるのです。

人は暇になると、忙しいときであれば考えないようなネガティブな思いが、頭に浮かんできやすくなります。

暇を持て余して孤独を感じないようにするためには、「時間を引き延ばして味わう」という視点が大切になります。

朝、目覚めたら「気持ちがいい朝だな」と感じる。部屋のカーテンを明けて朝日を浴びたら「暖かい日差しだな」と感じる。朝ごはんを食べたら「ああ、美味しいな」と感じる。外に出たら「風が心地いいな」と感じる。

「視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚」という五感を研ぎ澄まして、ひとつひとつの動作や行動を丁寧に感じとろうとすることが、時間を引き伸ばして味わうことにつながります。

快適な物事を五感によって感じとったとき、ふと幸せを感じることができます。

五感は、使おうと意識しないと、使う機会を見過ごしてしまいがちです。自分の一挙手一投足を五感で味わおうと思いながら、日々の時間を丁寧に味わうようにするとよいでしょう。

もちろん、やることを積極的に増やすことも大切です。土いじりでもいいですし、なにか作品を作るのでもいいですし、散歩を日課にするだけでもいいです。

新たな行動によって、さらに五感が研ぎ澄まされたり、思いがけない人と知り合ったりして、これまでには経験しなかった物事に目を向けていくこと自体が「生きる」ということでもあります。

作家の田山花袋は、「人間は元来一人で生まれて一人で死んで行くのである。大勢の中に混じってゐたからって孤独になるのは、わかり切ったことだ」と述べています。人間は生まれるときも死ぬときもひとり。それが人間の本来の姿だと思えば、孤独を憂い、嘆くことはないということです。

人は、そもそも孤独な生き物である以上、五感を研ぎ澄ませて、心地よさを味わうために生きてるといっても過言ではないと思うのです。

ちょっとした日々の心地よさに目を向けて、丁寧に生きていく。そうやって自分の人生を自ら豊かにしていけば、孤独を感じたり不安に思ったりすることは、だんだんなくなっていくでしょう。

きょうのひとことは、
「時間と丁寧に向き合う」
でした。

参考になったかしら?