「エクセル経営」は現場の衆知を集める経営
客層拡大にはもう1つ達成手段がある。
「エクセル経営」だ。
「エクセル経営」は、これまでのトップダウンの企業体質を変えるためだ。
社員どうしが現場の数字で平等に議論するためのコミュニケーションツールだ。
上意下達ではなく、現場の衆知を集める経営だ。
昔は驚くべきことに、幹部や上司の命令やマニュアルを実行するのが部下の役割だった。
何も考えない「受け身」の社員が前提だった。
私はこれが「報連相」の求める世界に近いという偏見をもっている。
幹部や上司が部下より有能で現場にいる部下を100%指導できることが前提だ。
「自分の言うことは50%間違っている。
自分の間違いを正してくれる社員を評価する」
コロナ禍の変化の時代ではそれは不可能だ。
今のワークマンは「経営者は凡人」で、社員に現場で考えてもらう会社だ。
私は「自分の言うことは50%間違っている。自分の間違いを正してくれる社員を評価する」と公言している。
実際、WORKMAN Plusのコンセプトづくりでは致命的な3つの誤りがあり、社内の有識者に気づかせてもらった。
「報連相」社員は不要!!
上司の意図を忖度して迎合したり、人の仕事を報告書にまとめるだけの「報連相」社員は不要だ。
私の人生で最大の過ちから救ったのは、根拠に基づく鋭い「批判」だった。
これがワークマンが生ぬるい「報連相」を禁止したたった1つの理由だ。
権限を現場に委譲すると、人は張り切って走り出す。
それが狙いだ。
まさに《自走型》の社員が成果を出している。
アウトドアウェアは、男女共用が多いのに気づいた社員から「♯ワークマン女子」店の発想が生まれている。
店舗で一般靴売場を広げる実験をした社員から新業態店「ワークマンシューズ」が始まった。
第1号店は2022年4月の「なんばCity店」、2号店は6月の「サンシャインシティ店」だ。
まずは、「♯ワークマン女子」の出店を優先するため、時間はかかると思うが、靴の小売3強に続く4位の座を狙っている。