報告書は価値を生まない仕事

 営業はPOSや在庫データをデータベースからエクセルに落として、自分で仮説を立てて分析している。

 加盟店を説得するための根拠を見つけている。

 つまり、自分の仕事ための分析である。

 社員がエクセルをフル活用しているのは自分の業務に使うからだ。

「報連相」の世界は報告書のための分析を求める。

 私は自分のためにつくられた報告書が嫌いだ。

 報告書は価値を生まない仕事だからだ。

 もともとある資料をコピーして渡してもらえば十分。

 いい会社ほど内向きの仕事が少ないが、残念ながら日本企業は規模に比例して価値の生まない仕事の比率が高まっていく。

 大きめの会社では、誰もが幹部や上司の「私は聞いていない」というお叱りの言葉を受けているはずだ。

情報は報告を受けるのではなく、
自ら取りに行くもの

 その瞬間に人は凍りつくが、もともと情報は報告を受けるのではなく、自ら取りに行くものだ。

 不思議なもので、情報は必要な人には伝わっている。

 情報を上げる価値がないと思われている場合が多いのだ。

 その反省もなく、怒りまくる。

 こういう幹部が「報連相」をよく口にする。

「報連相」のための「報連相」だ。

 4層から5層もマネジメント層がある大企業では「報連相」が主業務になっている人が多い。

 いわゆる「根回し族」だ。

 これは子どもの「もしもし伝言ゲーム」で価値を生まないし、社員の自発性を削ぐことにもなる。

「報連相」禁止といっても、個別の報告・連絡・相談がすべてダメと言っているのではない。

「報連相」文化による指示待ちや受け身の姿勢を禁止しているのだ。

 社員には自分で何をするかを考えて、走ってもらいたい。

 私として報告は「既存資料のコピー」、連絡は「私への忠告」、相談は「単なる参考意見の聴取」でいいと思っている(次回は、5/1配信予定)。