スタンフォード大学・オンラインハイスクールはオンラインにもかかわらず、全米トップ10の常連で、2020年は全米の大学進学校1位となった。
世界最高峰の中1から高3の天才児、計900人(30ヵ国)がリアルタイムのオンラインセミナーで学んでいる。
そのトップがオンライン教育の世界的リーダーでもある星友啓校長だ。
全米トップ校の白熱授業を再現。予測不可能な時代に、シリコンバレーの中心でエリートたちが密かに学ぶ最高の生存戦略を初公開した、星校長の処女作『スタンフォード式生き抜く力』が話題となり、ロングセラーとなっている。
ベストセラー作家で“日本一のマーケッター(マーケティングの世界的権威・ECHO賞国際審査員)”と評された神田昌典氏も、
「現代版『武士道』というべき本。新しい時代に必要な教育が日本人によって示されたと記憶される本になる」
と語った本の要点と本に掲載できなかった最新情報をコンパクトに解説する本連載。
今回は、スタンフォードにいる著者と世界で活躍する日本人との特別対談をお届けする。
星友啓(以下、星):今回の対談では、モータースポーツという男性社会の中で、女性ながらにトップマネジメントとして世界中を渡り歩いて活躍される森脇みどりさんに話を伺います。
昨今の、さらに続くグローバル化の中で、日本人が国際社会で活躍していくためには何を大切にしていくべきだとお考えでしょうか?
【1大習慣】グローバルスタンダートの中でも
自分の日本人論を持つ
森脇みどり(以下、森脇):まず大切にすべきなのは、「日本人とは?」という意識を胸に置くことです。自分が思う「日本人としてあるべき姿」というものを、ぜひ問いかけてみてください。
海外ではほとんどの国々が地続きでつながっており、国境という目に見えないボーダーを人工的につくることで国として成り立っています。
だから、生きてきた文化や経済が全く違う、異国の人たちとさかんにコミュニケーションを取ることになります。
そのため、「自分の国はこうなんだ」と自分の意見を言える方がほとんどです。
一方で、日本は海で囲まれた孤立の国なので、なかなか自分たちの国について語る機会がありません。だから、改めて「日本人ってなんだっけ」「自分はどういう日本人なんだっけ」と自分に問うことがまず大切だと思います。
父は元レーサーでモリワキエンジニアリング創設者の森脇護氏、祖父は“ポップヨシムラ”こと吉村秀雄氏という環境に生を受ける。工業高校卒業後は世界のオートバイ事情の把握と語学を身につけるためオーストラリア、そしてアメリカへ単身渡豪米。20歳で日本に戻り、2003年から2005年にかけモリワキ自社製レースマシンMD211VFで2輪界最高峰クラスのMotoGPクラスにスポット参戦。2010年にはモリワキ製シャシーのレースマシンMD600起用のGresini Racingチームが、MotoGP直下のMoto2クラス初年度世界チャンピオンを獲得。2008年には欧州、アメリカ、アジア地域において、それら各国内のオートバイレース協会と協力し、モリワキ・ジュニアカップを設立。モリワキ製MD250H (Moriwaki Dream 250 Honda)を使用し、世界選手権を目指す若いライダーたちの準備の場所を提供する活動も展開。2018年「株式会社MIDORI」を、また同年11月には「MIE Racing s.r.o」をチェコ・プラハに設立。2019年ホンダレーシングを代表し、スーパーバイク世界選手権のプロジェクトをスタート。Moriwaki Althea Honda Teamのチーム監督としてプロジェクトを指揮し、スーパーバイク世界選手権の舞台に、HRCがサポートするチームを17年ぶりに復活させる。 2020年よりMIEレーシングとして新たなスタートを切り、2021年シリーズのポルトガルではチーム設立以来の最高位でフィニッシュ。2021年にドイツ法人「LeyLine GmbH」を起業し2022年からドイツに拠点を移しMIE Racingはさらなる飛躍をめざし突き進む。
星:日本でも、昔に比べると国際化が進んできたとはいっても、他の地続きの国よりは他国の人との関わりがない。
「グローバル」というと、文化や背景の違う人たちとうまくやっていけるように、なにか共通点を見出すために、一つのスタンダードにこちらから歩み寄っていくというベクトルが強調されるかもしれません。
しかし、逆に、世界の中で自分の国を主張すべきであるような議論が必ず必要になってくる。だから、自分の考えを持っていること、そこからさらに自分で考えていくことが大切ですね。
森脇:ここでは、自分なりの「日本人」の解釈が正しいか正しくないかは問題じゃないんです。誰かに言われたことではなくて、自分なりの生きた解釈、自分の考え、であることが大切。
でも、同調圧力が強い日本の教育や風潮の中で、自分の考えを持ってはいけないと無意識に感じてしまっている。
みんな同じ決まりきった「日本人」論ではなく、自分が日本人として生きてきた中で生まれた自分なりの解釈や答えを持つことが必要です。
星:そうですね。ものを知っているか知っていないかとなった時に、正しいか間違っているかの二元論になりがちです。
でも、違う考えや文化に揉まれながら、グローバルに活躍するためにはフレキシブルである必要があります。
そうなった時に、やはり常に学んだことに対して仮説をたて、それをコミュニケーションの中で刷新しアップデートしていく柔軟な姿勢が大切だと思いますね。
そのマインドが異文化の人たちと交流していく中で1番大事な部分だなと思いました。
【2大習慣】負の感情を「力」に変える
森脇:次に大切なのが、「毎日の積み重ねが必ず自分の力になっていることを忘れない」ということです。
「世界」と聞くと、みなさん身構えてしまいます。けれど、人間はいろんなものを日々毎月毎分毎秒、解決しながら前に進んでいるし、人生で道を決めながら、小さなことが積み重なって今日があります。
ことに周りの人たちと文化も言葉も違えば、そういうことがいっぱいあるわけです。
その中で一番大切なのは、いいことだけではなくて、悲しかったり、悔しかったり、「負の感情」も悪とせずに受け入れることです。苦しいからこそ人は頑張るんです。
なので、そのマイナスな感覚も含めて、自分の力であるということを忘れてほしくない。今日も嫌な1日って思うかもしれないけれど、実は違って、今日の1日は明日の成功に繋がっている。
星:進化論的にも、人間の一個一個のネガティブな気持ちにはちゃんと理由があります。
そのことを前向きに捉えて、ネガティブな気持ちを活かしていこうというくらいの気概が必要いうことですね。