小型株集中投資で築いた資産をもとに、入社4年目の26歳でFIRE(経済的自立と早期リタイア)を果たした『投資をしながら自由に生きる』の著者が、「お金と時間の自由」を最速で得るための秘策を伝授! 最小限の時間で場所にも縛られず、極めて自由度が高い状態で仕事を楽しみしながら、経済的自由を謳歌するたった1つの方法を徹底指南する。
株式投資のポイント
株式投資で資産の桁を増やしたいのであれば、配当金(インカムゲイン)狙いではなく、将来大きく伸びそうな会社への値上がり益(キャピタルゲイン)狙いの投資をおすすめしましたが、その理由は3つあります。
1つ目は、配当金狙いの投資をしてしまうと、すでに成長しきってしまった大企業が投資対象になってしまうからです。そうした大企業は高配当を続けている間はいいのですが、少しでも配当金が減ると多くの株主が売りに出て、株価が大きく下落するリスクをともないます。また、配当金だけを気にして株式を買うと、企業の業績や成長性に目が向かなくなってしまい、業績が悪化しても気づかず持ち続け、資産を大きく減らしてしまう可能性があります。
2つ目は、配当金を出す企業は、「利益を先行投資して将来的な業績を伸ばそうとする成長事業がない」ととらえることもできるからです。そもそも配当金というのは、その企業の利益から捻出されます。ぐんぐん伸びている成長企業であれば、利益が出たとしても配当金として株主に還元するより、優秀な人材の採用や広告宣伝、設備などに先行投資をして、将来の利益を最大化しようとします。
実際、業績が急拡大している会社では、「配当金ゼロ」も少なくありません。アマゾンは上場してから20年以上、一度も株主に配当金を出すことなく、将来の事業成長のために先行投資してきました。株主に配当金ではなく、株の値上がり益で利益をもたらしてきたのです。
米国を代表する成長株であるIT大手GAFAM(グーグルの持ち株会社アルファベット、アマゾン、旧フェイスブックのメタ、アップル、マイクロソフト)の配当は総じて低い傾向があります。
一方の高配当企業は、成長がいったん安定し、先行投資をしようにも投資先がないケースが多いです。高配当の会社は利益を再投資しても、ビジネスがそれ以上拡大しないフェーズに達していると考えられるのです。
たとえば、たばこ産業や食品・飲料メーカーなど、すでに人材も生産設備も整っており、顧客数が飽和状態にある業界は、多くの先行投資をしても大きく成長できる可能性が低いでしょう。そうした企業は先行投資するよりも、配当金として株主に利益を還元して株価を維持するほうが合理的なのです。
高配当株として定評のあるJT(日本たばこ産業:2914)は、2021年2月に上場以来初の「減配」が発表されました。1994年に上場して以来、一度も減配したことがなかったにもかかわらず、この発表で7.16%の年間配当利回りが6.04%に下がることがわかりました。
これまでJTは減益でも増配して、1株あたり配当金の安定性を重視してきました。しかし、そもそも配当金は利益から出ているので、利益がなければ払えません。このような高配当株とされる銘柄でも、会社の利益が減る状況が続くと、当然配当金も減り、結果的に株価も下がってしまうのです。
3つ目は、株式投資の本当の醍醐味は、配当金ではなく値上がり益にあるからです。株式の配当金は、せいぜい年間数%ですが、値上がり益は場合によっては年間で数倍にもなります。近年では年間100〜400銘柄ほどの株価が、1年で2倍以上に値上がりしているのです。
そのような特徴のある株式投資では、すでに成長しきった会社の株を買って定期収入の配当金を狙うより、これから大きく成長しそうな会社の株を買って、将来の株価の大幅値上がりを期待したほうが、より効率的に資産を増やすことができるのです。
以上、3つの理由から、株式投資は配当金狙いではなく、将来大きく成長しそうな企業へ投資して値上がり益を狙ったほうがよいと考えています。
少額からはじめることができて流動性も高いので、投資したあとに「やっぱり違ったな」と思っても、すぐに市場で売買できるというメリットもあります。
とくに個人投資家にとっては、フットワークの軽い投資ができることは大きなメリットになるでしょう。