世界情勢が激動している今、「世界の国々を網羅的に理解できる」と話題の本が『読むだけで世界地図が頭に入る本』です。2022年度からは高校で「地理総合」が必修化され、地理という科目の重要性が見直されています。
『読むだけで世界地図が頭に入る本』の共著者で、高校や大学で地理を教えている安藤清氏に「地理を学ぶ楽しさ」について詳しく話を聞いてみました。「身近なところから、地理の楽しさはいくらでも体感できる」と語る安藤氏。その実例として、安藤氏が住んでいる千葉の銚子の春キャベツの話など、興味深い話をふんだんに聞かせていただきました。(取材・構成/イイダテツヤ)
1957 年生まれ。1981 年東京都立大学大学院理学研究科修士課程修了。千葉県公立高校教員。現在は、大学で非常勤講師。
地理の学習は何の役に立つのか?
――2022年度から高校では「地理総合」が必修化され、地理を学ぶ人が増えていきます。ただ、どうしても「地理は暗記の科目」とのイメージが強いのですが、安藤先生は地理とはどういう学問だと捉えていますか。
安藤清(以下、安藤):それは大事な視点ですね。近年、多くの出版社から「地理がわかれば世界がわかる」みたいな本がたくさん出版されていますよね。
そうした本でも書かれている通り、地理はただ暗記する科目ではなく、地理的な知識やバックボーンを持つことで、世の中のいろんなことが見えてくる。本来、そういう学問だと思います。
授業のときに「地理は何の役に立つと思いますか」という質問をよくしているのですが、以前ある高校生が答えた内容がとてもすばらしかったので、ぜひここで紹介させてください。
「地理は、その場所に行ったり、自然条件を調べたり、環境問題に取り組んだりするときには役に立つ。だけど、さらに物事を論理的に考える、当たり前の現象に好奇心を持つとか、ひとつの現象を多角的に見るという力を発揮しなければならないときにも役に立つ」
特に後半部分を読んだときには、本当にすごいなと思いましたし、その通りだと感じましたし、これを高校生が言っていることにも驚きました。
まさに地理は、何かを調べたり、覚えたりするだけの科目ではなく、そこから論理的に考えたり、多角的にものを見たりすることが大事なんです。