身近なところから地理のおもしろさは発見できる!

――安藤先生は「地理は論理的に考える学問」とおっしゃるのですが、私たちの身近な日常でそれを体感できる瞬間はありますか。

安藤:それはもうあらゆることが地理とつながってくると思います。たとえば、私は千葉県の銚子に住んでいるんですが、そもそも銚子はご存じですか?

――もちろん知っています。私も千葉の流山に住んでいますので(笑)

安藤:流山ですか。それは同じ千葉として親近感が湧きます(笑)

 銚子を散歩しているとたくさんのキャベツ畑があるんですが、そんなとき、ただ「キャベツ畑があるなぁ」ではなく「なぜ、ここでこんなにキャベツが作られているんだろう」と考えるのが地理なんです。

 ちなみに、銚子は春キャベツの生産日本一なんですけど、ご存じでしたか?

――それは全然知りませんでした。

キャベツ生産が盛んな地理的要因を考える(1)

安藤:銚子のキャベツは戦後から作られるようになったのですが、銚子は海に向かって突き出しているような地形にあります。海洋性の気候で、海風がいつも吹いているんです。

 そのため夏は涼しく、冬は暖かい。とりわけ、冬に霜が降りないのがとても重要です。霜が降りるようなところでは、地面の上にできる葉物野菜は作りにくいわけです。

 その点、銚子は冬でも霜が降りないので、キャベツを冬につくって春に出荷するのにぴったりだったというわけです。

 地元の人は「海風の塩をかぶってキャベツが甘くなる、柔らかくなる」と言ってます。そのあたりまでは私にはわかりませんが、ほかにも土の豊かな性質や平らで広い農地など、春キャベツの栽培に銚子の地形や気候が適していることは間違いありません。

 でも、それだけで日本一にはなりません。ここまで話したのは栽培における自然条件の話ですよね。

――ほかにもあるんですか?