キャベツ生産が盛んな地理的要因を考える(2)

安藤:今度は位置に目を向けると、銚子は首都圏まで車で2時間ほどで着く好立地です。

 首都圏の縁辺部にあって消費地との利便性が高いことも大きな理由のひとつです。

 こんなふうに、ただ地元を散歩するだけでも、地理的な目線を持っていれば、いろんなことが見えてくるんです。

 付け加えると、銚子の半島は東西に長く伸びているので、東側は海洋性気候で冬でも霜が降りないのですが、西側、内陸側は下総台地で冬に霜が降りるんです。

 当然、その地域ではキャベツのような葉物野菜は少なくて、地中で育つ大根やにんじんが作られているんです。同じ市内でも、そんな違いに気がつきます。

見慣れた日常風景に対して「なぜ?」という視点を働かせる

 どんな人でも、自分が住んでいる地域の風景は見慣れたものですが、そこでどんなものが作られているか、どんな生活が営まれているかというふうに、ほかの場所との違いやその土地ならではのことに着目して、「それはなぜなのか」を考えていくことは地理の醍醐味だと思います。

 地理の学びとは、すごく簡単に言うと「それがどこにあって、それはなぜなのか」を探っていくことです。「where and why there ?」ということです。

 そういう視点で自分の身の回りを眺めてみると、地理はぐっと身近になり、楽しくなってきますよね。

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