「情報を集めて論理的に組み立てる」地理的な思考力
たとえば、ロシアについて調べたら、広大な土地があり、ヨーロッパからアジアまでユーラシアと呼ばれる地域に広がっていることはわかります。
高緯度にあって寒い気候であることもわかりますし、古く安定した地形・地質で豊富な地下資源があり、低平な地形が広がっていることもわかります。
さらには、人類史上初めて社会主義を実践した国でもあります。
でも、こうした知識を積み上げることが地理の本質ではないと思っています。
こうした情報からロシアという国が、どんな産業を発展させていくのか、どんな国になっていくのか。そんなことを論理的に考えたり、ストーリーを作り上げたり、ロシアが他国に対してどのような影響力を行使しようと思うのかなどを考察していくのが地理という学問だと思っています。
ひとつひとつの情報にも価値がありますが、それを覚えるだけでなく、そこから論理的に組み立てたり、違った視点を持ったりしながら、イメージやストーリーを膨らまし、作り上げていく。そういうことまで含めて地理なんです。
今回の『読むだけで世界地図が頭に入る本』では私を含め6人の先生方が世界中の国や地域について解説していますが、ただ情報を羅列するのではなく、ひとつのストーリーや国としてのイメージが伝わるような書き方を意識していると思います。