ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。

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リヒテンシュタインってどんな国?

 リヒテンシュタインは、アルプスのふもとスイスオーストリアに囲まれた内陸国です。小豆島とほぼ同じ面積で、美しい山並みや森、中世の城などで知られています。

 国の始まりは17世紀末です。リヒテンシュタイン公爵家の3代目当主ヨハン・アダム公が、1699年にシェレンベルク領を、1712年にファドーツ領を購入し、1719年に神聖ローマ帝国から自治権を付与されます。

 1806年に神聖ローマ帝国は崩壊し、独立を果たしました。ヨーロッパの君主で随一の資産家であるリヒテンシュタイン公爵家が、元首を代々受け継ぎ、国を治めています。

 1868年に軍隊を廃止して以来、一貫して非武装政策を維持しています。歴史的経緯から、隣国のスイスやオーストリアとの法的・経済的関係が深いです。

 主要産業としては、医療機器や顕微鏡などの精密機械と化学製品が輸出されているほか、観光業、金融業、切手の発行などがあります。なかでも切手はデザイン性が高く、印刷技術が優れていることから、世界中のコレクターから注目され、国の重要な収入源となっています。

 法人税率が低く、個人には所得税がありません。タックスヘイブン(租税回避地)として有名で、ペーパーカンパニーが多いと非難されてきましたが、2009年以降、透明性の高いルールに移行する姿勢を見せています。

リヒテンシュタイン公国

面積:160㎢ 首都:ファドーツ

人口:3.9万 通貨:スイス・フラン

言語:ドイツ語(公用語)、アレマン語

宗教:カトリック(国教)73.4%

隣接:スイスオーストリア

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)