『週刊ダイヤモンド』6月4日号の第1特集は「住民も購入検討者も必読 損・得マンション管理」です。実は22年からマンションの管理と価格を取り巻く状況が激変します。国と業界による管理の格付け制度がスタートし「良い管理」と認定されなければ、そのマンションの資産価値が大きく落ち、買い手がつかなくなることも・・・。特集では管理がマンション価値を決める新しい時代の全貌と、いかによい管理を行い、いかによい管理のされたマンションを選ぶべきかの具体的ノウハウ、マンションに関わる全ての人が絶対に今知っておくべき情報を余すところなく「全部盛り」にしました。採点基準を根本から見直した管理会社113社ランキングも必見です!

東京でも全く他人事ではない
管理不全スラムマンション急増の予兆

滋賀県野洲市で全国初の行政代執行により解体された管理不全マンション。同様の事態に陥る「予備軍」は全国に隠れている
写真提供:毎日新聞社

 外壁にツタが茂り、朽ち果て、壁には大きな穴が開いた建物。滋賀県野洲市のこの廃墟は、元は1972年に建てられた、美和コーポB棟という名の小ぎれいなマンションだったという。

 手すりの落下や人体に有害なアスベストが飛散するなど、十数年もの間地域で問題になっていたマンションだった。管理不全が原因で、行政が行政代執行によって私有財産であるマンションを解体する全国で初めてのケースとなった。

 市が1億1800万円もの費用を立て替える形で解体したが、一部しか費用を回収できないまま現在に至る。

 実は、このような事例が、近い将来東京でも次々と出現するかもしれない。

 東京都は20年から、83年12月31日以前に建築された居住住戸が6戸以上のマンションの管理組合に対して、管理状況等の都への届け出を義務付けている。

 21年12月末時点で調査表が返送された9436棟中の1497棟が「管理不全の兆候あり」とされた。都が管理状況の届け出を義務付けたマンションは都内約1万2000棟あるが、そのうち約2割からは調査表の返送がなかったため登録されていない。これがどのような状況にあるかは分からず、潜在的な管理不全マンションはもっと多い可能性もある。

 管理不全の兆候ありとされたマンションの約60%は、築40年以上たつのに「一度も大規模修繕をしていない」と回答している。冒頭の美和コーポB棟と同じ状況である。国と都の推計では、都内の築40年以上のマンションは23年に42・8万戸、43年には117・7万戸に達する。

 もちろん東京だけの話ではない。 国土交通省の調査によると、長期修繕計画自体が存在しないマンションが、全体1615件のうち7%ある。さらに、仮に修繕計画があったとしても、それを行うカネがない管理組合も多い。管理組合1529のうち35%は現在の積立金残高が計画に比べて不足している。

 マンション管理とは、たまたま同じマンションを買っただけの特に共通項のない人々が、管理組合を結成して大規模修繕などで必要になる数千万円から数億円に及ぶ資金を集め、建築や法律、会計・財務の専門知識を駆使しながらマンションを「経営」するようなものである。一般人には極めてハードルが高いことを当初から要求されているのだが、これができなければ管理不全マンションになってしまうわけだ。

 さらに困るのが、このように管理崩壊しているマンションが、普通に中古マンション市場で流通していることだ。新築マンションの供給量が減る中、マンションを買うなら中古以外に選択肢がない場合も多い。だが、購入者が管理の状況について知ることができる場は限られている。

 こうした状況を打開するための法律がこの4月から施行された。改正マンション管理適正化法だ。これまでは美和コーポB棟のような管理不全マンションに対して、行政は管理組合側からの要請がなければ介入することができなかった。改正法では、条件を満たした管理不全マンションについては、行政側が管理組合の意思とは関係なく、能動的に指導勧告助言を行うことが初めて可能になった。

 さらに大きいのが、管理組合が作成する管理計画と管理の状況について、国と業界団体で客観的な指標で評価する仕組みができたことである。新たな制度は、これまで闇の中にあったマンション管理を変えることができるのだろうか。

22年から大きく変わるマンション管理
国の新制度で資産価値が大激変!

『週刊ダイヤモンド』6月4日号の第1特集は「住民も購入検討者も必読 損・得マンション管理」です。

 管理不全マンションが地域・自治体や購入者に損害を与えるリスクが高まる中、法改正によりマンション管理の在り方が22年から大きく変わります。その一つが国と業界団体による管理の認定・格付け制度です。これまで売買の場では見えなかった管理の状態が明確になることで、管理の良しあしでマンションが大きく差別化される時代が始まりました。特集では、こうした新しい動きを詳細に追いました。

 一方、管理組合を悩ませる「ヒト・モノ・カネ」の問題や、管理組合が管理会社に切り捨てられる「逆リプレイス」問題など、マンション管理を取り巻く課題も山積しています。マンションをうまく経営し、資産価値を上げるためにはどうすればいいのか?特集では具体的事例とともに提示しています。

 さらに、恒例の管理会社ランキングは評価基準を一新。管理戸数などのありがちな量のランキングではなく、より管理組合にとって質の高い管理を提供してくれる体制となっている会社を見定めるため、「面倒見の良さ」「有資格者数」「大規模修繕」などの5つの指標で113社を独自採点しています。

 さらに、マンション管理組合理事会団体としては国内最大のRJC48(マンション管理組合理事超勉強会)の全面協力により、スゴ腕理事長たちが管理の表と裏について赤裸々な本音話を繰り広げる座談会や、マンション初購入者や初めて理事に就任した方向けに、巷のマンション本では絶対に読めない「本音」のQ&Aもご用意しました。

 あなたのマンションは管理で勝ち組になれるのでしょうか?また、これからマンションを買う人は勝ち組マンションをどうしたら選べるのでしょうか?マンションに関わる全ての方に、是非お読みいただきたい一冊です!