いま私たちの生活は、PC・スマートフォンの普及により夜型化が進み、良質な睡眠がとりづらい状況に陥っている。睡眠が不規則になると、「なかなか寝つけない」「1日中眠気を感じる」といった睡眠障害の症状が出やすくなり、心身の健康も崩れがちになってしまう。
そこで、睡眠の質の改善に役立つのが、25年以上睡眠専門医として活躍している坪田聡氏の著書『朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」』だ。本書は、短時間の睡眠でも朝スッキリと起きられ、日中もハツラツと活動できる「5時間快眠法」のメソッドを3つのステップで解説している。
本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、睡眠の「質」を上げ、脳と体を劇的に回復させる「自分の体に合う寝具」の見つけ方をご紹介する。(構成/根本隼)

監修 日本睡眠学会所属医師、医学博士 坪田聡
「寝てるのに疲れが取れない」ときに真っ先にチェックすべき「NGな寝具」の特徴とは?Photo:Adobe Stock

「自分に合う寝具」を探す際の最重要ポイントとは?

 昨今の寝具の進歩は目覚ましい。ふとんだけでなく、枕やマットレスなど、快適な眠りを助けるさまざまな製品が開発されている。CMやテレビショッピングでヒット商品が紹介されていると、つい手を出したくなってしまうが、ちょっと待ってほしい。

 寝具はおいそれと買い替えるわけにはいかない大切なもの。自身の体格や骨格に合った寝具を、直接お店で試しながら、じっくりと考えて購入したい。

 自分に合った寝具を見つけるために、最も重視したいポイントは、「寝返りの打ちやすさ」だ。寝返りには、熱や湿気を放出して体温を調整することで心地よく眠れるようにしたり、血液や体液の循環をよくすることで体の回復に備えたり、一定部位だけに圧力がかかり、腰痛や肩こりが起きないようにしたりする効果がある。

 寝返りを制する者が睡眠を制すといっても過言ではないくらい、睡眠にとって寝返りは重要なのだ。

適切な寝返りの仕方とは?

 寝返りがしやすいかどうかの最重要項目は、「マットレス」と「枕」だ。まず、自宅のベッドで上記の図のように基本姿勢をとり、左右に寝返りの動作をしてほしい。

 このとき、上半身と下半身が一体となって動く場合、あなたは適切なマットレスと枕を使っているといえる。しかし、上半身と下半身それぞれがバラバラに動く場合は、どちらか片方が体に合っていない可能性が高い。

マットレスが合わない2つの原因

 マットレスが合わない場合は、大きく2つの原因が考えられる。まず、低反発マットレスを使用しているケースだ。低反発マットレスは、横になったときの姿勢が安定する反面、体をホールドしすぎしてしまい、寝返りしにくくなってしまう。個人的には高反発マットレスのほうをオススメしたい。

 もうひとつは、同じマットレスをずっと使っていて、マットレスが凹んでいる場合だ。マットレスの形にゆがみがでてしまっている。

 これを予防するために、半年に1回は裏表をひっくり返したり、頭とお尻を逆にしたり、部分的な凹みができないようにしたい。凹んできたら、タオルなどで高さを補うのも効果的だ。それでもやはり、5~10年に一度は買い替えるようにしたい。

快適な眠りに導く枕の選び方

 また、枕も同様で、高すぎたり、低すぎたり、または固さによっても、寝返りの打ちやすさが変わってくる。実際にお店に足を運び、展示されてあるマットレスコーナーで、先ほどの方法を試し、上半身と下半身が同時に動くものを探したい。

 また、枕の場合、横になったときに首が傾いていないかも重要だ。横向きになったときに額、鼻、あご、胸のラインが一直線になっているかを確認したい。

 素材面では、夏は通気性のよいビーズやそば殻、冬は保温性の高いウレタンが合う。季節によって枕を変えることで、移り変わる四季に睡眠をフィットさせることができる。

(本稿は、『朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」』より一部を抜粋・編集したものです)