ドル高行き過ぎの兆し、米多国籍企業に朗報Photo:Javier Ghersi/gettyimages

――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 米ドルの快走に歯止めがかかった。投資家は必ずしもドル高基調の再開を想定すべきではない。

 ドルは当然ながら、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めによる恩恵を受けている。金利の上昇により、投資マネーが米債券などのドル資産に向かいやすくなるためだ。株式市場の低迷やロシアによるウクライナ侵攻も、安全資産とされるドルの妙味を高めてきた。

 その結果、投資家が注目するインターコンチネンタル取引所(ICE)ドル指数は年初来7.1%上昇。主要16通貨のバスケットに対するドルの価値を示すウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)ドル指数も6.6%値上がりしている。過去1年ではICEドル指数は14.2%の上昇だ。

 米経済にとってドル高はプラス・マイナス双方の影響がある。輸入品の価格を下げるため、インフレ抑制には有益だ。だが、輸出業者や多国籍企業にとっては、ドル建て換算の海外利益が目減りしてしまう。マイクロソフトは先週、ドル高を理由に、4-6月期(第4四半期)の売上高と利益の見通しを引き下げた。