一番多いのは「子どもに迷惑をかけたくない」という悩み

―― たとえばどういう動機だと、片づけることをあきらめないものでしょうか?

石阪:子どものために片づけたいっていう動機は強いですね。「このゴチャゴチャした家をなんとかしないと子どもの将来が心配で……」という悩みはすごく多いです。私の片づけ講座の受講生はほとんど女性だったんですが、ZOOMでも片づけレッスンをはじめたら、男性からもちらほら申込みが来るようになったんですよ。この前も子どもが3人いるお父さんにレッスンしました。

そのお父さんは仕事が不規則で、お母さんが仕事もしながらワンオペで子どもを育てているんですね。お父さんは平日が休みで子どもたちは学校に行っていないから、自分はのんびりできるんです。でもお母さんは仕事以外ずっと子育て中心の生活だから大変なんですよ。それなのに、「部屋が散らかってる! なんでやねん!」って旦那さんからいつも怒られてたみたいで。ZOOMの画面にも、最初、奥さんは片目だけしか出てこなかったんです。私にも怒られるかもしれないと思ったんでしょうね。

だから私は、旦那さんからお部屋の写真を見せてもらって、ZOOMで話をする中で言ったんです。「奥さんはこれまですごい大変やったと思うんですよ。お部屋にあるものって何かわかります? ほとんど子どもたちのもので、奥さん自分のもの買ってないですよ」って。

そしたら「ああ、そうだ」と旦那さんも気がついて。片目だけ映ってた奥さんも少しずつ顔を出してくれたんですね。それで「どうしてこんなに汚いんだ!モノを捨てろ!」”っていつも怒られて、私の気持ちは誰も分かってくれなかった」って正直な気持ちを話してくれました。それから旦那さんが頑張って、だいぶ片づいたお部屋の写真を送ってくれました。

ご夫婦で、家の片づけに取り組まれて本当に良かったと思いました。

―― 片づけは女性がするもの、と決めつけているお父さんたちにも見習ってほしいです(笑)。

石阪:若い世代にはそういう人は少ないんです。私の娘夫婦も男女対等だからという感じでお互い割りきっています。私がいろんな方を見てきた感覚では、43歳前後が境目ですね。それより前の世代の女性は、勉強もしなさい、仕事もしなさい、でも家のこともやりなさいって言われて育った人が多い。男性は、勉強してちゃんと働けばあとは何もしないでいい、という古い考えの刷り込みがまだ残っている世代です。

だから、40代半ばくらいの女性は、自分もフルタイムで働いているのに旦那さんがワンマンだったり、家事を頼むと逆ギレされたり、結構ややこしいケースが目立ちます。そういう男性は、女性だから料理も片づけもできて当然、っていう思い込みをまず捨ててほしいですね。

――本の中にも、3人子育てしながらパートをしている女性の話が出てきます。片づけができずに夫に責め続けられていた自分を変えるため、石阪さんの講座を受けた後の変化に驚きました。特に紙片づけで財産管理が上手になって、まさに人生変わりましたね。

石阪:ファイナンシャルプランナーに相談するにも、書類を整理してからでないとできませんからね。彼女は紙片づけを終えてファイナンシャルプランナーの先生に相談に行ったら、住宅ローンの借り換えをしたほうが得することがわかったり、資産管理の仕方もいろいろ改善点して、「老後はこれでもう安心ですよ」と言ってもらえたそうです。家もすべてきれいに片づいたので、子どもたちが料理を作ってくれたり、旦那様が洗い物も手伝ってくれるようになったってすごく嬉しそうに教えてくれました。

その後、彼女はずっとやりたかった英語の勉強もはじめました。この方も理想の暮らしを強く思い描いたから、最後まで片づけて自信を持つことができたんですよね。片づけをあきらめなければ、何歳になっても人は変われるんです。

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