生きていれば、不安や悩みは尽きない。寝る前に考え込んでしまって、眠れなくなるなんてことも……。そこで参考にしたいのが、感動小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉の数々。とても読みやすいオムニバス形式の8つの物語は、気づかぬ間に心の荷物を抱え込んで苦しくなったとき、そっと心の荷物を手放すための優しい言葉を授けてくれる。voicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」の心がスッと軽くなる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!
イマイチ納得していないけど……とりあえず謝る
ネット調査によると、「悪いと思っていなくてもとりあえず謝る」という人の割合が4割を超えたそうです。TwitterなどのSNSで批判や誹謗中傷などを含む投稿が集中する「炎上」がたびたび話題になっていることも影響しているのかもしれません。
実際、面倒なことになるのがイヤだから、自分が本当に悪いかどうかを理解していないまま、理由もわからず謝るケースが増えているように感じます。ネット上に限らず、ふだんの生活でも、目の前の1つや2つの否定的な意見を、さも全体的な意見かのように受け止めて、とりあえず謝っておく。しかし、そんなことをしていたら、なにもできなくなってしまいます。
本当はそんなことを思っていないのに、たまたまイライラしていて、ネガティブな意見を言ったり書いたりしただけかもしれません。そのことをとらえて自分の意見を引っ込めて、とりあえず謝ってしまうこともあるでしょう。
「とりあえず謝っとけ」という悪弊
自分が批判すれば、誰かが自分に対して謝るということが当たり前になると、批判する人にとってもあまりよくないと思うんです。ひいては、そういうことは当たり前のように通用する世の中が形成されてしまいかねません。
ラウド・マイノリティ(ごく少数でも声の大きい人たち)の背景には、サイレント・マジョリティー(物言わぬ多数派)の存在があるもの。なにかを思っていても声を出さず、穏便に済ませようとか、かかわらないようにしようという多数派です。
自分が面白そうだと思ってやったり、よかれと思ってやったことを、少数の批判によって理由もわからず謝って断念してしまう。それは自分のためにもよくないし、批判する人のためにもよくありません。もし謝って断念するにしても、原因と理由を特定して、ラウド・マイノリティだけでなくサイレントマジョリティーの存在も想像して、自分が納得することが大切です。理由もわからず、やみくもに謝って断念しないことです。
※『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)には、お悩み解消のヒントが満載です。