遺族厚生年金の受給要件① 家族構成は?

 遺族厚生年金の受給要件は遺族基礎年金の受給要件と比較すると厳しいものではありません。具体的には「生計を維持※」されているご家族がいる場合に支給されるものとなっており、子どもの有無は問われません。
※「生計を維持」とは死亡当時に故人と生計を同一にしていた方で、原則として年収850万円未満の方が該当します。

遺族厚生年金の受給要件② 保険料をどれだけ納めた?

 原則として、厚生年金の保険料を、3分の2以上納めていたことが要件になります。厳密には、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの被保険者期間に、国民年金の保険料納付済期間および免除期間、厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間の合計が3分の2以上あることが必要です(遺族基礎年金と同様)。

 なお、死亡日が令和8年3月末日までの特例要件についても遺族基礎年金と同様です。

遺族厚生年金の特徴

 遺族厚生年金は、厚生年金の被保険者であった期間中の死亡だけでなく、過去に被保険者であった人であっても、「被保険者であった期間中に初診を受け、5年以内の死亡」の場合にも支払われます。つまり、病気でやむなく会社を退職した人の場合にも、遺族厚生年金が支給される可能性があるということです。

 例えば、病院で癌と診断され、5年以内に癌で死亡した場合には、会社を退職していても遺族厚生年金が支給される可能性があります。

年金受給の停止手続

 年金を受けている方が亡くなった場合は、年金事務所等に死亡した旨の届出書「受給権者死亡届(報告書)」の提出が必要です。なお、日本年金機構にマイナンバーが収録されている方は、原則として「受給権者死亡届(報告書)」の提出を省略できます。

遺族基礎年金の額(令和3年度)

・子どものいる配偶者が受け取るとき:年間78万900円+(子の加算額)
・配偶者がおらず、子どもが受け取るとき(次の金額を子の数で割った額が、1人あたりの額):78万900円+(2人目以降の子の加算額)
※1人目および2人目の子の加算額:各22万4700円。3人目以降の子の加算額:各7万4900円

遺族厚生年金の額(令和3年度)

 原則として、故人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の金額となります。また、65歳以上の方は、遺族厚生年金とご自身の老齢基礎年金、老齢厚生年金または障害基礎年金の一部または全部を併せて受け取ることができます。
(本原稿は、橘慶太著『ぶっちゃけ相続「手続大全」ーー相続専門YouTuber税理士が「亡くなった後の全手続」をとことん詳しく教えます!』を編集・抜粋したものです)