全国3000社が導入し、話題沸騰のマネジメント法「識学(しきがく)」の代表・安藤広大氏の最新刊『数値化の鬼』。「仕事ができる人」に共通することは、「数字で考えること」や「数値化のクセをつけること」だと言う。数字によって自分の不足を客観的に受け入れ、次の行動設定や行動変容につなげることによって、人は「急成長」する。
「数字で人を見るな」「数字がすべてではない」ということはよく言われるが、「数字」は決して無視できない存在。この本では、「感情を横に置いて、いったん数字で考える」「一瞬だけ心を鬼にして数値化する」など、頭を切り替える思考法を紹介する。
昔は優秀だった人が犯す「伝え方」のミス
優秀なプレーヤーは、出世して管理職になります。
ただし、彼らが優秀なマネジャーになるとは限りません。
そこに、数値化の問題が絡んできます。
優秀だったプレーヤーは、「伝え方」が上手ではないことが多いです。
どういうことでしょうか。
彼らは、部下や同僚に対して、平気で次のようなことを言ってしまいます。
「努力すれば道は開けるよ」
「うまくやればいいんだよ」
特に天才的にプレーヤー能力が高い人ほど、このような表現を使います。
おそらく、頭の中には成功法則があるのでしょうが、それを噛み砕いて再現性のあるような形で伝えることができないのです。
たとえば、「1500ー(100×7+50×10)」という数式があるとします。
これを口頭で伝えられても、暗算で一瞬で「答えは300です」と言えるでしょうか。多くの人はできないと思います。
しかし、優秀だったプレーヤーが管理職になると、その想像力が足りなくなるのです。
自分自身はKPIへの分解ができていたのに、マネジャーになった瞬間に、そのことを伝えられなくなります。
優秀なマネジャーは
「1つずつの式」にする
逆に、マネジャーとして優秀な人は、先ほどの数式を分けて伝えることができます。
「100円のリンゴを7つ買いました。
50円のみかんを10個買いました。
いま、1500円、持っています。
残りはいくらですか?」
と、要素に分けて考えれば、誰にでも「300円です」と答えが出せます。
これは、ビジネスに置き換えても同じです。
「とにかく努力して利益を上げなさい」とだけ伝えることは、先ほどのような複雑な数式を暗算で計算させるようなものです。
そうではなく、
「Aという商品を安く仕入れる」
「Bという商品も安く仕入れる」
「客単価を上げる」
「顧客数を増やす」
「その結果、利益を増やせ」
など、行動すべきことを分解して、何が「P(目標)」で、何が「D(行動)」なのかを伝えられると、部下は動けます。
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモを経て、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)のジェイコム株式会社で取締役営業副本部長等を歴任。2013年、「識学」という考え方に出合い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2022年7月現在で、約3000社以上の導入実績があり、注目を集めている。最新刊『数値化の鬼』(ダイヤモンド社)の他に、36万部を突破したベストセラー『リーダーの仮面』(ダイヤモンド社)などがある。