壁を超えたら人生で一番幸せな20年が待っていると説く『80歳の壁』が話題になっている今、ぜひ参考にしたいのが、元会社員で『島耕作』シリーズや『黄昏流星群』など数々のヒット作で悲喜こもごもの人生模様を描いてきた漫画家・弘兼憲史氏の著書『死ぬまで上機嫌。』(ダイヤモンド社)だ。弘兼氏のさまざまな経験・知見をもとに、死ぬまで上機嫌に人生を謳歌するコツを説いている。
現役世代も、いずれ訪れる70代、80代を見据えて生きることは有益だ。コロナ禍で「いつ死んでもおかしくない」という状況を目の当たりにして、どのように「今を生きる」かは、世代を問わず、誰にとっても大事な課題なのだ。人生には悩みもあれば、不満もあるが、それでも人生を楽しむには“考え方のコツ”が要る。本書には、そのヒントが満載だ。
※本稿は、『死ぬまで上機嫌。』より一部を抜粋・編集したものです。
たくさん服があっても着る服は限られる
【前回】からの続き
DVDや本が片づいたら、余勢を駆って洋服や靴の処分にも着手しましょう。
今はユニクロなどのファストファッションが、あらゆる世代に普及しました。「安いから」という理由でついつい服を買っていたら、どんどんクローゼットに積み重なっていきます。でも冷静に考えると、常時着ている服は、多くても5着くらいのものじゃないでしょうか。
洗濯を繰り返しては、同じシャツを何度も着回している人が多いと思うのです。ひとまず、何シーズンもクローゼットに眠っていた服、ヨレヨレになった服はひと思いに処分しましょう。
タダで譲るか、寄付をする
状態がよく、もらってくれる人がいる場合はタダで譲ります。あるいは、慈善団体などに寄贈をするのもよいですね。ちょっとネットで調べれば、寄付先の団体がいろいろと見つかります。
捨てるにしのびないのは、高価なブランドものです。今となっては流行遅れでサイズも合わない。でも買ったときには1着何十万円もしたことを思うと、簡単には捨てられない。僕にも身に覚えがあります。
少しでも回収したいからといって、リサイクルショップに持ち込んだところで二束三文の値段を提示されるのがオチです。メルカリなどのフリマアプリで売ろうにも、手間がかかるうえに、なかなか買い手がつかない状況が容易に想像できます。
捨てられない人の最終手段
どんなに大枚をはたいて手に入れた服でも、古くなったら廃棄物同然の扱いを受けます。だったら、やはり自分の手で処分するしかありません。
さて、いざ捨てると決意したのに、なかなか踏ん切りがつかない人に、ちょっと過激ながら確実な方法を教えましょう。それは、家庭用の生ゴミを入れる袋の中に、洋服を一緒に入れてしまうやり方です(住まいの自治体が燃えるゴミに分類している洋服に限ります)。
一度生ゴミがついてしまえば、さすがにもう一度取り出して着ようとは思わないでしょう。洋服を入れたあと、ダメ押しでキッチンの三角コーナーをつかんで、中身をゴミ袋に捨てる。これで完全にあきらめがつきます。
3枚買ったら5枚捨てる
ある程度、洋服と靴の整理がついたら、今度はこれ以上増やさないように心がけます。僕が実践しているのは、「1枚買ったら1枚捨てる」というルールです。
シャツを1枚買ったら、クローゼットから一番いらなそうなシャツを1枚取り出して捨てる。下着などは3枚一緒に購入する場合が多いので、それを収納するときに、使い古した3枚を放出します。
実は、そうやってルールを忠実に守っているつもりでも、気がつくといつの間にか増えてしまうのが洋服の恐ろしさです。僕の経験上、「3枚買ったら5枚捨てる」のペースで取り組むのが現実的です。この方式なら洋服を着実に減らしていくことができます。
新しい服を買う前に考える2つのこと
いずれにしても「買うなら捨てる」というルールを自分に課してから、僕はむやみに服を買わなくなりました。新しい服がほしいと思っても「本当にこの服着るかな」「今ある服を捨ててまで買うべきなのか」と考え、自制心が働くようになったのです。
今ではクローゼットがだいぶスッキリしました。気分爽快です。
※本稿は、『死ぬまで上機嫌。』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。ぜひチェックしてみてください。