C 自分が歯科衛生士になってから親の歯の治療を見直す機会があったのね。一家でかかりつけにしていた先生だったんだけど、う歯の根管治療で感染を予防するための抗菌剤が入っていなかったの!転院した先の先生に「なんで、こんな治療したの?」ってあきれられたくらい。案の定、根尖(歯の根の先っぽ)性歯周炎になって、もう抜歯するかどうかの瀬戸際で何とか救えた。今、考えると処置中の接触感染を防ぐための滅菌手袋もしていなかったなあ……。

B 昔の先生って手袋はめていない人が多くない?印象的には50代、55歳くらいが境目かな。

C コロナ禍の感染予防で使い捨ての手袋、マスク装着くらいは常識になったかもしれないけど。

A え、つい最近、グローブを洗って干して使い回しているクリニックを見たよ。手袋なんて、アルコール消毒すれば使い回せるでしょ?と。

(一同、えええええええええええ!?)

手袋をしたまま備品にベタベタ触れる
感染予防の意識があまりに低過ぎる!

C 手袋の意味がないじゃん!でも元々、感染予防の意識が低いから手袋をしたまま、その辺の備品にベタベタ触っているよね。その手が口腔に入ってくるとか、もう無理。

D 私が前いたところではインプラントの手術中に、助手さんが滅菌手袋を着けたまま棚をごそごそひっくり返して薬剤を探し始めて、そのままオペに戻っていましたよ!

 歯科医師もそれをとがめない。一度、先生に詰め寄ったんですが「分からないから、今まで通りでいいよ」って。考えてみたらオペの準備も素手でやっていました。もう、オペ室の意味がありませんよね。これ以上は関わりたくないと思って辞めました(笑)。

B ラバーダム(根管治療の際、汚染された唾液が処置歯に流入して感染を起こさないよう、患部以外の口腔を覆うシート)を使う先生も少ないよね。使い方をよく知らないのか鼻までラバーで覆ってしまって「先生!患者さん、窒息しちゃいます」みたいな。

A 感染を防ぐ清潔操作にしても情報のアップデートが追い付いていないと実践できないよ。あとは経営的な面でサプライ(消耗品)にお金をかけたくない面もあるんじゃない?ここでも最後に泣くのは患者さんよね。

――患者さんから、あの先生の腕はどうなの?と聞かれたことはありますか?

A 患者さんからSOSが来ることはありますね。複数の医師がいるクリニックだと患者さんとの相性を考えて、受付と相談して担当をこっそり外すこともあります。