東京マラソンの費用は
ランナー1人5万円超の実態

 ほかに今後、開催予定で参加費が高い大会は、千葉アクアライン(11月6日、1万6500円)、神戸(11月20日、1万6200円)、京都(来年2月19日、1万8000円)、大阪(同2月26日、1万7200円)、名古屋ウイメンズ(同3月12日、1万9000円)などがある。

 いずれもジワジワと値上がりしているから、2万円を超えるのは時間の問題に違いない。値上げのケースとして東京・横浜の両大会を例にしたが、他にもここ数年、参加費が急騰した大会は少なくない。

 いくつかの大会事務局に問い合わせたが、いずれも「諸般の事情」と口をそろえ、明確な理由は引き出せなかった。ただ、今年4月に開催された「かすみがうらマラソン」は「密を避けるため参加者の人数を減らした」と回答した。筆者も出走したが、確かに例年に比べスタート時の混雑はかなり緩和されていた印象がある。

 冒頭に「参加費が急騰」「中止でも返金されない」と、受け取り方によっては主催者を批判しているような解釈をされかねない表現になったが、実は、ランナーは参加費以上のメリットを受けている。

 東京マラソン財団に近い都教育委員会中堅幹部によると、東京マラソンの費用は約20億円で、もろもろを単純計算するとランナー1人当たり5万円を超えるという。特に「13年のボストンマラソン爆破テロで、警備費がメチャクチャ増えた」と耳打ちしてくれた。

 そもそも市民マラソンは自治体が「町おこし」「知名度向上」のため、赤字覚悟で予算を計上し、ランナーが恩恵を享受してきた側面がある。現在でもフルマラソンだけではなく、10キロやハーフなどでも「どう見ても採算割れ」という大会は多い。

 そんな中で、大会が中止になってSNSなどで「高い参加費を徴収しておいて、直前に中止(もしくは市民ランナーの出走不可)はいかがなものか」という投稿に、気持ちは分かるが「落ち着いてくれ」と言いたくなる。