上場企業の“用心棒”として株主対応などを手掛けるIRジャパンで今年6月、元副社長のインサイダー取引と、上場規程に反して業績予想修正を適切に開示しなかった疑惑が、ダイヤモンド編集部の報道により明らかになった。あれから3カ月。IRジャパンは調査報告書を公表したが、その内容は、不十分な調査と経営陣を擁護する詭弁に満ちた「お手盛り」そのものだった。特集『インサイダー IRジャパンの凋落』は9月5日(月)から11日(日)までの全7回にわたり、開示不正疑惑の真相と、疑惑の背景にある「企業防衛ビジネス」の実像を明らかにしていく。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史、フリーライター 村上 力)
#1 9月5日(月)配信
【スクープ】ツルハから20億円、ニトリから8億円!IRジャパンの「皮算用」が内部資料で判明
IRジャパンが達成不可能な状況に追い込まれながらも、固執し続けた通期売上高120億円の業績予想。その根拠となる案件名と報酬額が、ダイヤモンド編集部が入手した内部資料で明らかになった。その内容を検証すると、ドラッグストア大手ツルハホールディングスなど有名企業から億円単位の巨額フィーを得る計画など、無謀な「皮算用」が通期見通しの根拠となっていた実態があった。
#2 9月6日(火)配信
【スクープ】セブン&アイ、リコー…IRジャパンが経営陣と株主の紛争で荒稼ぎした「企業名と金額」
IRジャパンはなぜ、発生が予測できない巨額ディールを通期見通しに盛り込む無謀な行為に及んだのか。それは同社がこれまで企業と株主の紛争で荒稼ぎできた成功体験があるからに他ならない。ダイヤモンド編集部の独自取材で、IRジャパンに巨額フィーを支払った企業名を明らかにする。アクティビストの圧力を受けるセブン&アイ・ホールディングスやリコーなどが、IRジャパンに「企業防衛」を依頼していた。
#3 9月7日(水)配信
IRジャパン「1年で天国から地獄」の凋落は必然か、証言から浮かぶワンマン社長の実像
上方修正の連発により、2019年の年初から昨年初めごろまでに株価が10倍に膨らんだIRジャパン。だがこの1年間は、業績未達と不祥事により、10分の1に転落。急成長と凋落の裏で何があったのか。関係者の証言により、「天国と地獄」の内幕ドキュメントを描く。
#4 9月8日(木)配信
株主総会で「賛成が多かった株主提案」ランキング!経営者がIRジャパンに駆け込む最新事情
IRジャパン急成長の裏には、上場企業に強まる株主圧力がある。アクティビストや機関投資家らの株主提案が近年増加し、可決されるケースも散見され始めた。そこで今年の株主総会で、多くの賛成を集めた株主提案をランキング化。株主圧力におびえる経営者が存在する限り、彼らの“駆け込み寺”としてIRジャパンのニーズは存在し続けそうだ。
#5 9月9日(金)配信
株主の反対が多い経営者ランキング【全29人】三菱電機などワースト上位経営者の共通点
今年の株主総会では、会社提案の取締役選任議案で多くの大企業経営者に反対票が投じられた。ダイヤモンド編集部は、時価総額1000億円以上の大企業を対象に、株主の賛成率が低い取締役のランキングを作成。上位にランクインした経営者に、ある共通点が浮かび上がった。
#6 9月10日(土)配信
IRジャパンは「資本市場の寄生虫」と著名アクティビストが断罪する理由
投資ファンドのストラテジックキャピタル代表でアクティビストとして知られる丸木強氏は、IRジャパンを資本市場の「寄生虫」と表現する。その真意は何か。丸木氏は、IRジャパンが「会社の株主価値を向上させるアドバイス」を行っていないと断罪する。
#7 9月11日(日)配信
LIXILや関西スーパーの株主総会で登場、株主をだます「一体型委任状」の大問題
LIXILや関西フードマーケット、東京機械製作所など、IRジャパンが支援する企業の株主総会で、議決権行使書と委任状が一体になった書面が使われた。この「一体型委任状」について、甲南大学の梅本剛正教授は「株主の合理的な意思決定を妨げる」と問題視する。その理由を、梅本教授に聞いた。
Key Visual:SHIKI DESIGN OFFICE, Kanako Onda