8月26日、パンメーカーの神戸屋は、袋パンを軸とした卸売事業を山崎製パンに譲渡すると発表した。なぜ主力で黒字の袋パン事業を、今手放したのか。神戸屋の創業家出身社長の桐山晋に話を聞いた。(名古屋外国語大学教授 小野展克)
なぜ主力事業を譲渡するのか?
パンメーカーの神戸屋は、袋パンを軸とした卸売事業を山崎製パンに譲渡すると発表した。神戸屋の袋パン事業は、売り上げの約7割を占める主力事業だ。しかも、ここ最近では大手コンビニ向けのプライベートブランド(PB)商品で、ヒット商品の製造も手掛けており、黒字も確保している。
なぜ、神戸屋は、屋台骨ともいえる袋パン事業の譲渡に踏み切るのか。
その一方で、神戸屋が今後、成長の柱に据えるのは、消費者になじみの薄い冷凍パンと新型コロナの感染拡大で赤字に陥り店舗の縮小を続けるレストランやベーカリー等の直営店事業だ。
この意表を突くCX(コーポレート・トランスフォーメーション)に踏み出したのは「上質な当たり前と、想像を超える食文化を提供し、世の中を豊かにする」を掲げ、100年後の神戸屋を見据えた創業家出身社長の桐山晋の実行力だった。その背景と狙いに迫った。