株式投資で資産2億5000万円を築いている現役サラリーマン投資家の愛鷹氏。2008年から株式投資をはじめ、これまで通算66もの銘柄で10倍株(テンバガー)を達成。“テンバガー・ハンター”の異名をとる。2021年は9年連続テンバガー達成。会社員として働きながらテンバガーを連発する【愛鷹式】超分散投資術を徹底解説した初の単著『サラリーマン投資家が10倍株で2.5億円』(ダイヤモンド社)から、一部を抜粋・編集し、一度買ったら決算を都度確認するだけでほとんど売らない、というサラリーマンでも再現性の高い超シンプルな投資法を紹介する。

【10倍株(テンバガー)連発!】<br />テンバガーハンターが集中投資をキッパリやめた“痛恨の失敗劇”イラスト:タラジロウ

大学生にして株で成功していた後輩

【前回】からの続き 私が本格的に株式投資をはじめたのは2008年8月でした。振り返ってみると、株式投資を身近に感じたのは、大学在籍当時の後輩の影響です。その後輩は、大学時代に個別株投資で成功し、かなりの資産を築いていたようなのです。

具体的に、どんな銘柄に、どういうスタイルで投資していたのか詳しくは知りません。しかし、その後輩は大学生にして、トヨタの高級車アリスト(いまのレクサスの前身)の新車を乗り回し、大学を卒業するとすぐにサラリーマンをしながら不動産会社や飲食店校ダイヤモンド・グラフィック社の経営と事業立ち上げに乗り出していましたから、学生ながら投資家としてすでに大成していたのでしょう。

一方、大学時代の私は学業やバイトに追われ、投資をはじめるには至りませんでした。しかし、その後輩からの「先輩も社会人になってお金を稼げるようになったら、株式投資をはじめるべきだと思いますよ」のひと言はずっと頭の片隅に残っていたのです。

100万円を相続して投資をはじめる

いまでは大学生投資家や大学生起業家は珍しくもありませんが、当時若くして成功していた彼と出会えたのは、それまでバイト代もお年玉も使わない分は貯金に回すことが、あたり前になっていた私にとって「株式投資というお金の増やし方もあるんだな」という新鮮な気づきを得られたという意味で好運だったと思います。

その後輩の羽ぶりのよさが羨うらやましいという気持ちよりも、「株式投資というお金の増やし方もある」という気づきの印象のほうが強かったです。ただ、その後輩のひと言が頭に残っていたものの、私が大学院を修了して会社に就職してからはじめた投資は、個別株投資ではなく投資信託(投信)でした。

思いがけず100万円を相続することになり、それを元手に投資をはじめることにしたのです。

いくつかの投資信託に分散投資

就職してからはじめて1人暮らしをすることになり、なおかつ仕事を覚えることに精いっぱいだったこともあり、投資についてきちんと考える時間はありませんでした。そのため、相続の手続きを依頼した会計事務所にいわれるがまま、まずはいくつかの投信に分散して運用しようと考えたのです。

成長性を期待して、当時話題になっていたBRICs(当時はブラジル、ロシア、インド、中国の新興4か国、現在は南アフリカを加えた5か国でBRICS)の株式や債券を対象とした4つの投信などに分散投資し、その後もほかの投信に毎月2万円を定期的に積み立てました。

投資信託ではお金が増えた実感が得られず

投信への投資は、自分で個別の投資先を決められるわけではありません。ファンドマネージャーにお任せです。たとえ基準価格(投資信託の値段)が上がったとしても、どういう理由で上がったのか、決算期に送られてくる「運用報告書」を読んでも、その国の情勢や為替変動があれこれと書いてあるだけで、よくわかりませんでした。

さらに年に何回か分配金(株式投資の配当金に相当)が入ってきても、当時はリーマンショック前の不安定な相場環境だったこともあり、投資したお金が増えている、儲かっているという実感は得られませんでした。

投資先で大きな不祥事が発覚

そんなときに頭の片隅に残っていた大学時代の後輩のひと言「社会人になったら株式投資をはじめるべきだ」を思い出し、個別株投資もはじめてみることにしたのです。それが2008年、リーマンショックが起こった年でした。

20代のサラリーマンですから、給料から生活費などを除くと投資資金は限られます。そのため、少ない資金を効率的に増やしたいという気持ちから、はじめのうちは限られた銘柄への集中投資をしていました。

その投資先の1つが、チケット販売のローソンエンターメディア(2010年7月株式上場を廃止)でした。ところが、2010年に同社が大きな不祥事を起こします。元代表取締役らが、チケット販売代金144億円を不正流用して投資に回し、会社に損害を与えたとして、東京地検特捜部に逮捕されてしまったのです。

集中投資の失敗を教訓に分散投資へ転換

この事件で株価は半減し、私は大損してしまいました。「ビギナーズ・ラック」という言葉もありますが、私の場合は“ビギナーズ・アンラック”という悲運に見舞われたわけです。

同社は株式交換によりローソン(2651)の完全子会社となり、株式市場からの退場を強いられました。この失敗から私は集中投資を避けるようになり、今日までひたすら分散投資を心がけてきました。

※本稿は『サラリーマン投資家が10倍株で2.5億円』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。