「あれ? いま何しようとしてたんだっけ?」「ほら、あの人、名前なんていうんだっけ?」「昨日の晩ごはん、何食べんたんだっけ?」……若い頃は気にならなかったのに、いつの頃からか、もの忘れが激しくなってきた。「ちょっと忘れた」というレベルではなく、40代以降ともなれば「しょっちゅう忘れてしまう」「名前が出てこない」のが、もう当たり前。それもこれも「年をとったせいだ」と思うかもしれない。けれど、ちょっと待った! それは、まったくの勘違いかもしれない……。
そこで参考にしたいのが、認知症患者と向き合ってきた医師・松原英多氏の著書『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』(ダイヤモンド社)だ。
本書は、若い人はもちろん高齢者でも、「これならできそう」「続けられそう」と思えて、何歳からでも脳が若返る秘訣を明かした1冊。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、脳の衰えを感じている人が陥りがちな勘違いと長生きしても脳が老けない方法を解き明かす。

【91歳の医師が教える】無意識にやってしまうと嫌われてしまうけれど…じつは効果的なので時々やってみたいことPhoto: Adobe Stock

30分に一度は立ち上がり、歩き回る

【前回】からの続き 自宅でテレビを見ながらソファでまったり寛くつろいでいるときでも、オフィスでのデスクワーク(自宅でのテレワーク)でも、30分に一度くらいは立ち上がって下半身を動かして、ミルキング・アクションのスイッチを入れるように意識しましょう。

スクワットのように、下半身の筋肉を鍛える効果までは期待できないかもしれませんが、筋肉の衰えを遅くさせる効果はあるでしょう。少なくとも血流を促進させる効果はあります。スクワットをしないまでも、ただ立つだけなら簡単ですから、続けやすいと思います。

30分に一度が難しいなら、1時間に一度でもいいでしょう。とにかく、気がついたら気分転換がてら立ち上がってみることです。私も、実践するように気をつけています。できる限り、このルールを守っておくと、エコノミークラス症候群の予防にもなります。

【91歳の医師が教える】無意識にやってしまうと嫌われてしまうけれど…じつは効果的なので時々やってみたいことイラスト:堀江篤史

立ち上がったらついでに歩く

立ち上がったら、そのついでにトイレに行ったり、窓を開けて換気をしたりと、軽く歩き回ってみると、なお効果的です。それによってミルキング・アクションが起こり、脳にもフレッシュな血液が送り込まれます。「座るより立つ、立ったら歩く」を心がけましょう。

余裕があれば、かかとを上げるつま先立ちを「イチ、ニイ、サン、シイ……」と何回かやってみてください。そのたびに、ふくらはぎの筋肉が伸縮し、よりいっそうミルキング・アクションが促進されます。高齢者は、転ばないように、椅子の背もたれや壁などに手をついて行うといいでしょう。

事情が許せば、そのまま散歩に出かけたり、近所のコンビニやカフェまで飲み物を買いに出かけたりしてみれば、なお効果的です。

「健康ゆすり」で血液循環を促す

また、座っているときに、「貧乏ゆすり」をするのもいいです。貧乏ゆすりは、江戸時代にはすでにあった言葉で、貧しい人が飢えや寒さに堪えかねてブルブルと震えている様子から、名づけられたという説が有力です。

落ち着きがないクセとして嫌われがちな貧乏ゆすりですが、血液循環を促すという面では効果的なのです。下半身の筋肉が小刻みに動くたびに、ミルキング・アクションが誘発されるからです。

こうした効果に注目が集まり、最近では「健康ゆすり」として肯定的にとらえる人も増えてきています。

※本稿は、『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』より一部を抜粋・編集したものです。本書には、脳が若返るメソッドがたくさん掲載されています。ぜひチェックしてみてください!