【総フォロワー数18万人!】親力アドバイザーとしても活動する教育評論家の親野智可等氏は、「子育てそのものをラクにしていくことが、日本の育児、教育の最大課題」と指摘しています。
その解決の一助として、親に対するシンプルであたたかいメッセージを365個掲載した書籍『子育て365日 親の不安がスーッと消える言葉集』が、あらゆる年代の親の不安が消えると話題です。
この連載では、親野氏の子育てに対する考えや、親の心に刺さる言葉を紹介していきます。

愛情たっぷりの親が無意識に子どもを不幸にする3つの思い込みとは?(その2)「親がやってあげると自立ができない」Photo: Adobe Stock

親自身が、自分を楽にする発想を持とう

 共働き家庭がスタンダードになることで女性の負担が増し、子育てを苦しく感じる人が増えているように思います。子育て家庭に対するサポートを充実させていくことはもちろん大事ですが、それだけでなく、親自身が、子育ても自分自身も、楽にしていく発想が大事だと私は思っています。

 今、親をいっそう苦しくしているのが、時代に合わない、昔ながらの性役割や家族観・子育て観です。

 前回は、そうしたもののひとつとして、「悪いところは小さいうちに直さなくてはいけない」という思い込みを紹介しました。

 今回はその2つ目、「親がやってあげると自立ができない」という思い込みを取り上げます。

親がやってあげたほうが自立する

 たとえば、学校の準備が苦手で忘れ物ばかりする子がいます。自分で痛い目に合わないと直らないし、将来困るだろうということで、一切、準備を手伝わない親がいますが、じつは、親が手伝ったり、あるいは代わりにやってあげたりしたほうが、自立が進むことが、発達心理学の研究でわかっています。

 実際、多くの親は、見るに見かねて手伝うのですが、そのときどうしても「なんでできないの! しっかりしなさい!」と子どもを叱ってしまいます。イライラするのはわかりますが、残念ながら、叱ることで子どもができるようになるということは、まったくないと言っていいでしょう。

 というのは、子どもは「今、ここ」を生きている存在なので、「明日の自分が困るだろう」という発想にはまだなっていないことが多いからです(もちろん、成長には個人差があります)。

 子どもの成長段階を無視して叱ることで、子どもの自己肯定感が下がるだけでなく、親への信頼感や安心感もなくなり、のびのびとした成長を阻害してしまうことがあります。

 つまり、「子どもをしっかりと自立させたい」というい思いが、逆効果になってしまうわけです。

 一方、親が叱ることなく手伝ってあげれば、子どもは親に感謝し、親子関係はよくなります。そして、「大好きなママやパパの期待に応えたい」という気持ちが生まれ、親が願っていることをがんばろうという気持ちが自然と生まれてくるのです。

 次回は、「親がやってあげると自立ができない」という思い込みの弊害についてさらに考えます。(次回に続く)

※本原稿は、親野智可等著の書籍『子育て365日 親の不安がスーッと消える言葉集』の発売を記念した書き下ろしです。ぜひ書籍のほうもチェックしてみてください。