クリエイティビティはトレーニングで鍛えられる
デザイン思考を上手く利用する上で一番重要なポイントはクリエイティブなマインドセットをいかに持続させられるかだと思います。The Kaospilotsのユニークな点は、デザインプロセスでそもそも必要な発想力や創造力など、クリエイティブインテリジェンスに時間をかけて取り組めることでしょう。
学長のクリスターはこう言います。「クリエイティビティとは学ぶものだと理解するのに、The Kaospilotsはパーフェクトな例でしょう。世の中にはクリエイティビティとは生まれ持った才能だと思っている人がいますが、それは間違った考えです。クリエイティビティが生まれ持った才能であるならば、すべての人類と文化の可能性を過小評価することになります」
クリエイティビティはスポーツのように継続的にトレーニングを積むことで高めることができます。例えば、即興劇のエクササイズは効果的です。直前までテーマがわからない状況で、その場で思いついたことを体で表現することで、内に秘めたクリエイティビティを引き出すのです。
マインドセットをまず変えて、さらに様々な手法を用いてブレインストーミングを行うと自分でも信じられないくらいクリエイティブなアイディアを考えだすことができます。
これらの手法を先日、日本に一時帰国したときに、東京と京都で20代~40代の日本人の方を対象にどのくらい通用するのか試してみました。その結果、次のような感想をいただきました。
「斬新な切り口の思考法でした。とかく左脳で理詰めに考えがちになるので、いい右脳の柔軟運動になりました」「普段経験できない新しい方法で色々な表現を考える貴重な時間だったと思います。考えるのってこんなに楽しいんだ!」
人は生まれながらにして誰もがユニークな存在で、自分に正直であることがクリエイティブインテリジェンスを高める上で最強のツールです。日本人がクリエイティビティに対する自信を取り戻し、新しいアイディアを開発するためのヒントが北欧にはたくさんあります。この機会に様々な観点から紹介していきたいと思っています。(第2回に続く)※2/28掲載予定です。
大本綾(おおもと・あや)
1985年生まれ。立命館大学産業社会学部を卒業後、WPPグループの広告会社であるグレイワールドワイドに入社。大手消費材メーカーのブランド戦略、コミュニケーション開発に携わる。プライベートでは、TEDxTokyo yz、TEDxTokyoのイベント企画、運営に携わる。2012年4月にビル&メリンダ・ゲイツ財団とのパートナーシップによりベルリンで開催されたTEDxChangeのサテライトイベント、TEDxTokyoChangeではプロジェクトリーダーを務めた。デンマークのビジネスデザインスクール、The KaosPilotsに初の日本人留学生として受け入れられ、2012年8月から留学中。