金融緩和を追い風にサラリーマン投資家の間で流行したワンルームマンション投資。駅前立地であることが投資家への売りだったのに、用地が枯渇。従来の手法では開発が続けられなくなっている。特集『白熱!土地争奪戦』(全6回)の#5では、ワンルームマンション投資で異変が起こっている理由を分析する。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)
駅から遠い場所に投資用ワンルームマンション
近場で立て続けに建設
ある不動産投資家は最近、投資用ワンルームマンションの大きな異変に気付いた。
数十戸の投資用賃貸マンションに投資し、さらに投資物件を増やそうと東京都心を日々探索しながら建築予定の標識をチェックしている。その中で「敷地面積が狭くて総戸数が20~30戸と少ないマンションが目立ってきた」というのだ。
一方で最寄り駅から遠い場所ではまとまった土地が開発用地となり、一つのワンルーム専業デベロッパーが同シリーズのマンションを複数棟、近場で立て続けに建てるという現象が起きている。同じ時期に、同じ場所で、同じようなマンションが建設されるというのは、投資家目線でいえば空室率上昇リスクが高まり、需給バランスが崩れる恐れがあるので好ましいものではない。
駅前の賃貸マンション開発では、サラリーマン投資家へ売るためにワンルーム専業デベロッパーが手掛けるものが減り、三菱地所レジデンス、三井不動産レジデンシャル、住友不動産、野村不動産といった大手デベロッパーによるものの方が増えている。タイプはワンルームからファミリー向けまでさまざまだ。
つまり、サラリーマン投資家は駅近で投資用ワンルームマンションを買いにくくなっている。なぜそのようなことになっているのか。次ページではこの謎を解き明かす。