多くのビジネスパーソンから、「会議がうまく仕切れない」「無駄な会議だと言われる」「何度も似たような会議を繰り返してしまう」「結論が出ない」といった悩みを耳にする。しかし、「1ページ」のメモを事前に作り、その場で配布してうまく活用すれば、会議の進行は大きく変わる。何より、「1ページ」の力は、ミーティングをうまく仕切れなかった著者自身が、P&G、楽天、フェイスブック、MOON-Xと業界も会社も、自分の役割さえも変わっても、一貫して変わらず、実感し続けている。当連載では、『今すぐ結果が出る 1ページ思考』(長谷川晋)にまとめられている「1ページ」を活用した会議の進め方などを解説していきたい。

【読書からの学び】読むだけじゃダメ。行動を起こしてナンボ!Photo: Adobe Stock

読書の感想も「1ページ」にまとめておく

 学びの蓄積という点では、特に学びの多かった本を読んだときのサマリーも、私は「1ページ」で作っています。本を読んで気になったポイント、刺激になったことをまとめていく。やはり本からの学びはとても重要です。しかし、人間は「忘れるようにできている生き物」なので、記録をしておかなければ、ほとんど記憶に残らない。そこで、1枚の紙に残しておくのです。

 項目は「学んだこと」「説明」「どう行動を変えるか」の3つです。「学んだこと」は5つか、もしくは3つにすることがほとんどです。あまり多いと、それこそ埋もれてしまいかねません。何が特に大きな学びだったのか、はっきりしなくなってしまう。自分の中で蓄積できなくなってしまうのです。

 また、ただ本のポイントや説明を入れていくだけではなく、「どう行動を変えるか」まで踏み込んでいく。これは本に書いてあるわけではないので、自分で考えることになる。

 実際のところ、「ええことを書いてあるな」と思うだけでは結局、何も変わりません。半分、無理矢理でも、自分はそれをどう活かすか、というところまで言語化することに意味があると思うのです。

【読書からの学び】読むだけじゃダメ。行動を起こしてナンボ!

 言い換えると、「読書感想文」だけでは、結果を出すために必要なスキルを磨くには物足りない。アクションを起こしてナンボだということです。だから、「学んだこと」から「じゃあ実際にどうするのか」まで考えたほうがいい。それこそ、学んだことをどの業務で使うか、どう使うか、みたいな具体的なところまで書いて明確にしたほうがいい。

 もう一つ、学びをしっかり蓄積することに有効なのが、周りの人にシェアすることです。P&G時代、学びの多かった本のサマリーはチームに共有していました。「Weeklyチームミーティング」のトピックに組み入れることもありました。

 共有する利点は、自分の中に留めるだけではなく、言語化して整理をすると他の人にもインスピレーションを与えられること。そして、他の人に伝えようと整理する中で、自分にとっての学びが何だったのかを、改めて咀嚼することができることです。

 シェアすることで、本を読むROI(投資収益率)はかなり高まるのです。

【読書からの学び】読むだけじゃダメ。行動を起こしてナンボ!長谷川晋(はせがわ・しん)
MOON-X Co-Founder/CEO
2歳から9歳までアメリカ、シアトルで育つ。京都大学経済学部卒、体育会ハンドボール部主将。2000年に東京海上火災入社、法人営業担当。P&Gで10年間、Pampers・Gillette・BRAUN・SK-IIなどのマーケティングおよびマネジメントを統括。その後、楽天の上級執行役員としてグローバルおよび国内グループ全体のマーケティングを管掌。2015年Facebook Japanの代表取締役に就任、在任中にInstagramの国内月間ユーザー数は810万から3300万に。2019年8月に「ブランドと人の発射台」をミッションに掲げるMOON-X Inc.を創業。現在、自社D2Cブランドを展開すると同時に、共創型M&Aや他社ブランドの支援も展開中。『今すぐ結果がでる 1ページ思考』(ダイヤモンド社)が初の著書。MOON-Xコーポレートサイト:https://www.moon-x.com/ Twitterでは次世代ビジネスリーダー向けに「#ビジネスの戦闘力」を高める情報を発信中:@ShinHasegawa8

 私の場合、読んだ本のサマリーの「1ページ」は、読み終わってからまとめていました。私は必ずペンを持って本を読み、気になるところに線を引いたり、感じたことがあったらページの余白に書いたりしています。

 そして読み終わったら、また初めから本をめくって線やメモを見ながら、大事なポイントだけを書き出して、サマリーにしていきます。

 最近では、オーディブルで本を「聴く」ことも増えました。その場合は、横にスマートフォンを置いておいて、いいなと思ったポイントがあれば、その場でスマートフォンのメモに入れています。

 ここで紹介している例は羽生善治さんの『決断力』という本からの学びをまとめたものですが、これまでの人生の中でたくさんの本を読んできて、1冊だけオススメのものを選べと言われたら、私は迷わずこの本を選びます

 千局以上勝負してきた超一流の棋士が、「直感による選択の7割が正しい」と言い切っていることは、非常に説得力がありました。また、「決断とリスクはワンセット」という言葉も、まさにビジネスやキャリアはリスクなくして良い決断はできないので、思い切って前に進む勇気をもらえるものでした。

 迷ったとき、最終的にどう判断するのか。リスクとどう向き合い、決断していくのか。自分の行動を変えていく上で、大きなヒントをもらえたと思っています。

 特に学びの多かった本は何度か読み返すことがあります。ここで面白いのは、読むタイミングによって、学びのポイントが変わってくることです。その違いがまた、自分のキャリアや人生のヒントになると感じています。その変化を「見える化」する上でも、本を読みながら線を引いたり、書き込みを残したり、例のような「1ページ」を作ることは、学びの蓄積につながると思います。

※当記事は、『今すぐ結果が出る 1ページ思考』より一部を抜粋・編集したものです。