

さて、クウォラの特徴は、一見したところよくある質問サイトに見えて、その下ではソーシャルネットワークのようなしくみが動いていることである。回答が優れているとユーザー投票によってランクが上昇する。先に挙げたジョブズの話やキャリアの話などは、与太話やひやかしではなく、内容も書き方も手が込んでいて、皆から賞賛されるタイプのもの。
そうした回答を書き込んだユーザーは、他のユーザーにフォローされ、「クレジット」という得点も上がっていく。ここで「物知り」とか「思慮ある回答者」と見なされて、ちょっとした人気者になっている人々もたくさんいるのだ。
クウォラにソーシャルネットワークのしくみがあるのは、当然と言えば当然だ。何と言っても、同社の2人の創設者はいずれもフェイスブック出身で、ひとりはCTOまで務めていた人物。フェイスブックは「友達」という、やや漠然としたつながりだが、クウォラは「知恵」や「知識」を基本にして人のネットワークをつくろうというものだ。これは、新しいタイプのソーシャルネットワークと言えるだろう。自分の知恵をアピールしたい人、仕事のマーケティングに使いたい人なども、大いに利用できる。
ただ、例によって、プライバシー問題も多少取りざたされていたり、クズのようなコンテンツの生産サイトになっているという批判もあったりする。ベンチャーキャピタルからこれまで6000万ドルを超える資金の投入を受けて、先頃はブログ・プラットフォームも発表した。
メディア、ソーシャルネットワーク、質問サイトといった複数の機能を融合させた試み。ちょっと興味深い、発展型サイトであることは確かだ。